身勝手な彼女(桃) (ページ23)

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「…淳太、」

名前を呼べば、甘えるような瞳で私をじっと見つめる彼は、

「何かええな、こんな朝も」

昨日とはまるで違う優しい表情をしている。

「私、帰るね」

自分でも後悔はしていない、はずなのに。

「待って、もうちょっとおってや」

彼に惚れられたんじゃないかって、少しだけ、面倒に思っている自分がいる。

「…中間くん。私、必要以上に中間くんと仲良くするつもり、ないの」

自分でも酷いことを言っているのは分かっているし、こんな醜い自分、今まで知らなかった。

「…利用、するんならさ、とことん利用した方があいつにも効果あるんちゃう？」

「でも、これ以上はもう、」

「俺も、半端な気持ちでこんなこと言ってるわけやないねん。Aちゃんならこの気持ち、分かるやろ？」

必死に訴えるように話続ける彼は、いつかの私のようで。望に好かれたくって、望に私だけを見てほしくて、必死だった頃の私を思い起こさせる。

「中間くんは、それでいいの？好きな人に寂しいからって利用されて、良いように使われて、それでも傷付かないの？」

「…俺は、」