”家族”はここに居るから【MHA×ワンピース】 (ページ38)

今日:44 hit、昨日:312 hit、合計:18,179 hit

１３７ページ38

結局、エリちゃん保護云々は手を出さない事にした。いざとなったら自分が保護するつもりだったんだけどね。ヒーローがやる気ならヒーローに保護される方がいい。

脱走したという前科を持ってしまったので、エリちゃんの部屋には鍵がつけられる事になった。簡単には部屋に入れなくなった。

いつもはシエなんちゃらカイの仲間さん達と手合わせをした後の自由時間にエリちゃんの部屋に寄る。
寄るんだが、流石に脱走したその日にマスク野郎の仲間じゃない自分がエリちゃんに近づいたら警戒されるよな、というわけで今日のエリちゃん訪問はパス。さらに扉の前に見張りがついてていままでより近づきにくくなってた。

彼女自身でもどういう状況なのか分かっているだろう。自分が急に訪問できなくなった理由についても分かってて欲しい。
それでも放置はさすがに可哀想だなとは思ったので。

「お兄さんお兄さん」
「あ？お前確か……ヴィラン連合の」
「ここ無駄に分かれ道多くて道に迷っちゃってさ、部屋に戻れなくなってね。僕らの部屋まで案内してくんない？」

そう声をかけたのは、エリちゃんの部屋の見張り役の男。
額にシワを寄せて、「いやでも俺は仕事が」と言ってくる。予想はできてたので、まあまあと言いつつ肩を持って明後日の方向へ向けさせる。

「リーダーさんの客人だよ？もてなしてよ」
「…………分かった」

部屋の扉から背を向けて歩き出した。
いやー、なんて単純なんだろう。

見聞色で部屋の中に居るエリちゃんが扉の近くまで来ているのを捉えた。様子を伺いに来たんだろうな。自分の声も聞こえてただろうし。
見張りの男が向こうを見ている隙に扉の下の隙間から手紙をねじ込んだ。

エリちゃんが手紙を拾い上げたのを覇気で確認して、見張りの男について部屋へ戻った。

部屋にあった裏紙を使って簡単に作った手紙は、できるだけ難しい漢字は使わないように、簡潔に書いておいた。
自分はこれからしばらく訪問出来なくなることと、エリちゃんが出会ったヒーローはエリちゃんのことを助けてくれるだろうからそれまでの辛抱だよ、ということ。

いや、この組織に居る間の癒やしだったエリちゃんに会えなくなるとは、なかなかの痛手ですな。
エリちゃんが自分との約束を待ちきれずに外に出ちゃうなんて可愛いことしてくれなければ…いや、エリちゃんのせいでは断じてないけど。

ま、エリちゃんの存在を知った緑谷君が放置するはずもないし。そろそろヤクザ体験も終わるかな。