”家族”はここに居るから【MHA×ワンピース】 (ページ36)

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そうして数日が過ぎた。
エリちゃんの”実験室”行きを止める事は出来ずに。

個室に戻ってきた後に密かに訪問して一緒に遊ぶ日々。主にタイルで造形したり、部屋にあった裏紙と鉛筆と、エリちゃんの部屋に転がっていた色鉛筆を使ってお絵かきをしてみたり。
若干の表情変化は現れてきたものの、はっきりと笑う事はまだしてくれていない。

ちなみにトガちゃんとトゥワイスにも一度会わせてみようかと考えたけど、それをエリちゃんに話してみたら嫌だと拒絶された。知らない人はまだ怖いお年頃。

「外、出たことないの？エリちゃん」
「うん、ちさきさんがだめだって」
「へェそうなんだ。んじゃ外出てみる？」
「……え？」
「お外デビュー、してみない？」
「…………え、でもちさきさんが……」
「僕がどうにか言っとくよ、ちさきさんって奴に。だから今日はちょっと無理だけど。外はどう、行きたい？」
「…ちさきさんは、外はびょうにんがいっぱいだから行くなって言ってたけど」
「うん」
「……わたし、外、行ってみたい」

エリちゃんのお外デビューを手伝う事になった。

となると、流石に外にまで連れて行くのは無理なのでいい加減”ちさきさん”とやらを誰かはっきりさせないといけない。
そしてどうにか説得してエリちゃんを外に連れて行く。育ち盛りの子供を外に出さないとかまずその時点でイカれてるし。
でもマスク野郎以下の立場なら脅せばいける。マスク野郎以上だとちょっと面倒だけど。

「エリちゃん、ちさきさんって誰かな。違う部屋まで連れて行ってくれてる人？それともあんま会わない人？」
「………………わたしを……いつも、きってくるひと」

マスク野郎じゃねェか。

え？待て待て待て、いやいや、…でもそうだよなあのマスク野郎以外にエリちゃんを刻んでるクソ野郎なんて居ないもんな。

え？まさかの最悪の一致パターン？えっ何、殺しにいった方がいい？

「エリちゃんあいつ殺そうか？」
「え？」
「ごめんなんでもない。…………へェ、あのペストマスクと手袋つけてるあいつが。ちさきさん。へーふーんそう。じゃあの野郎とはよくオハナシしておくからさ。許可取れ次第、一緒に外出てみようか」
「…………うん」
「よし、んじゃ僕今日は帰るね。また明日」
「ばいばい」

……危うく色鉛筆をへし折る所だったよね。危ない危ない。あれ以上あの空間に居たらちょっと殺気が我慢できなくてエリちゃんを怖がらせちゃうかもしれなかった。