”家族”はここに居るから【MHA×ワンピース】 (ページ33)

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「近づいても、いいかな」
「いい、です…！」
「ありがとう」

昨日の、タイルで作った椅子は消しておいたのでまた作る必要があった。
同じような位置に椅子を作ってまたそこに座る。

…あ、昨日あげた髪ゴム、枕元に置いてくれてる。嬉しいね。使ってないのは……つけてると取り上げられるとかそこらへんだからだろうか。

「今日は、何かしたいとかあるかい？」
「…………ううん」
「そっか。んじゃまた何か作ってあげるよ。何がいい？立体版リンゴとか？」
「りったい？」
「…ンー、見せた方が早いかな。立体ってのは、こう…………こう、奥行きってのがあるやつだね」

タイルで作ったリンゴに着色。茎と葉っぱも作った。中は空洞なのでとても軽い軽い。
持ってみるか聞くと恐る恐る手を出して来たので、ゆっくり手のひらに乗せる。

すごい、こわれない、と喜んでくれた。
ゆるりと口周りの筋肉が動いたけど、笑うまではいってくれなかった。
……この子の笑顔、見たことないんだよな。どうにかして笑わせてあげたい。

「……、…………ぁ、の」
「ん？」
「個性って……どうやって、せいぎょすれば…いいですか？」
「…………なるほど、能力の制御ができないと」
「…ごめんなさい」
「いやいや、謝る事じゃないんだよ。全然平気。……エリちゃん、今何歳？」

聞けば６歳だという。
この世界で能力が発現するのは…大体遅くても３，４歳だったよな。少なくとも２年は経ってるけど……未だ能力が制御できていないとな。

…………マスク野郎共が能力を使わせないようにでもしてるのかな。

「エリちゃん、君の能りょ…個性って何？」
「わたしの…………個性は、人を”ふこう”にする個性だって、言ってた」
「はァ？」

何だそれ、が思わず声にも顔にも出てしまったらしい。少しエリちゃんが体を震わせた。ごめんねエリちゃん。

…なんか、ことごとくこの世界の人って自分の能力に悲観的だよな。心操君とか心操君とかエリちゃんとか。

「…それは違うよ。力ってのは使い方なんだ。君がどんな能力を持っていたとしても、絶対的に人を不幸にさせる能力なんてこの世には存在しない。君の能力は人を不幸にさせるものじゃない、それは断言できる。……どこの誰だい、そんな事を言ったのは」
「……ちさきさん」
「ちさきさん」

誰だか知らんけどちさきさんとやらの評価は今のところ自分の中じゃマイナス１点だからなお前。子供にマイナスな事を教えるべきじゃないだろうが。