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「りんご……」
「…りんご、好きなの？」
「うん」
「そっか、んじゃ……ちょいとお待ちを」
自分の髪をほどいて髪ゴムを用意。
タイルで着色した小さいリンゴを作り出す。立体じゃなくて平らなリンゴ。
リンゴの裏面に髪ゴムを密着させて、タイルでリンゴとゴムを固定。あっという間にかわいい髪ゴムの出来上がり、ってな。
「……すごい…！」
「そんなに目ェきらきらさせて言われると照れちゃうなァ。これはエリちゃんにあげるね」
「…え？いいの…？」
「もちろん。もらってくれるかい？」
エリちゃんがゴムを受け取ってくれた。
よし、これで”初対面の知らない怖いお兄さん”から”ちょっとは信用できるかもしれないお兄さん”くらいにランクが上がってくれてると嬉しい。
地下で完全に隔離しているということは、地上に逃げられてヒーローに掴まるってのを避けたいってことだろうから……きっと彼女はこの組織になくてはならない存在。
子供を使うなんてのは、はらわたが煮えくり返るどころの話じゃないレベルで自分の地雷だから。
そうだなァ…これを機に少しずつコンタクトをとっていって、あわよくばヒーローに会わせて保護させてみたりとかすれば向こうさんには大打撃になるだろう。
エリちゃんは救われる、シエなんちゃらカイは打撃を受ける、自分は高みの見物で笑っておく。出来たら最高だね。
「それじゃ、僕ァ部屋に戻っておかないと」
「…………あの、」
「ん？」
「……あの、そ、の、」
「待ってるよ。何だい？」
椅子から立ち上がりかけてたのを地面にしゃがみこんで、ベッドに座っているエリちゃんと目線をあわせる。
「また、あいに来て……くれますか？」
「……ぇ」
「だめ、ですか」
「いやダメじゃない全然ダメじゃないよエリちゃん、ただちょっと嬉しくて、……また来てもいいかい？」
「うん……お、お姉さん、いままでの人のなかでいちばん…やさしい、から」
「そっかー…！！これ結構嬉しいな…………分かった、また来るよ。でも今日はもう部屋に戻っていいかな」
「ん…」
見たかシエなんちゃらカイ、お前らよりも先にエリちゃんの信用を勝ち取ったぞオラ。
あと小さい子が懐いてくれたのは普通に嬉しい。エリちゃん可愛い。
「ごむ、ありがとう」
「どういたしまして！それじゃエリちゃん、また」
見聞色で部屋の外の周りには人が居ないことは分かっていたのでそのまま出る。
ウッキウキで廊下を歩いて。
「あれあの子さっきお姉さんっつった？」
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夕憑紅(プロフ) - 悲しすぎます。辛いって思いました。主人公がんばれ！ (5月7日 13時) (
レス) @page18 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんちょび | 作成日時：2024年3月4日 17時
