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落ち着け、ちょっとイライラしすぎて思考がおかしいぞ。
冷静になれ、冷静に。そして人には見つからないように。ここでシエなんちゃらカイの人間に会ったら会えないで終わる。歩いてる人間は多くはないけど、ほとんど直線の道だから奥に人影が見えた時点で違う道に入らないと詰む。
つってもまァこちらには見聞色というチートがあるからね。特に見つかる危険が高くなることもなく、女の子の気配がある部屋の前まで来た。
あくまで……偶然だから。
がちゃり、と扉を開ける。
「っ……」
「アレ？ここじゃないか…。や、ごめんねお嬢さん」
「…………だれ…？」
「ここのお客さんだよ。お手洗いってどこにあるかわかるかい？ここ、道が入り組んでてさァ」
「……わかんない」
「そっか！……部屋、入っても？」
…拒否はされなかったので、ゆっくり入って後ろ手に扉を閉める。
……薄暗い部屋だなァ、健康によくないぞ。分からんけど。
部屋の真ん中に飾り気のないベッドが置いてあって、女の子はベッドの上に座っていた。きっと自分が入る前はベッドに寝転がっていたのだろう。
部屋のあちこちには明らかに手をつけられていないおもちゃやら人形やらが散乱している。……散乱…というよりか、無造作に置かれている感じだな。女の子が何が好きなのかも把握してないのか……？
「お嬢さん、お名前はなんてェの？」
「……エリ…」
「エリちゃんか！初めましてエリちゃん、僕はチヅルって言うんだ」
「…あの」
「うん？」
「…………わたしの、新しいせわがかりですか？」
「せわがかり」
世話係。
っはーー……イライラしてるからなのか分からんけど、”世話係”の響きがどうにも機械的すぎて人のぬくもりを感じなくてこの子がどうでもいいってのが伝わってくる気がしてたまらない。
イライラしてるからそう解釈してしまうのであって実際はそうではない事を祈るしかないが。いやきっと違うに違いない。うん。
「…いいや、さっきも言ったけど僕は単なるお客さんだからね、違うよ。……もうちょい近くまで、行っても？」
「……うん…」
「ありがとう」
ベッドの上に一緒に座るのは流石に急に距離を詰めすぎるかな、と思ったので、ベッドの近くにタイルで椅子を作ってそこに座る。エリちゃんの目が少し見開かれたのがわかった。
「びっくりした？タイルって言ってね、いろんなものをタイルで作れるんだ。船、くまさん、さくらんぼにリンゴ」
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夕憑紅(プロフ) - 悲しすぎます。辛いって思いました。主人公がんばれ！ (5月7日 13時) (
レス) @page18 id: 2500c6590e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんちょび | 作成日時：2024年3月4日 17時
