”家族”はここに居るから【MHA×ワンピース】 (ページ28)

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「…………ん……？」

小さな、違和感。

今まで、見聞色を広げている範囲内に小さい子供の気配はなかった。全員成人済みの気配。

今、範囲外から大人と一緒に抱き抱えられた子供の気配が入ってきた。
それだけなら別に違和感は感じない。あァだれかの娘さん(女の子の気配だった)なのかな、で終わる。

…人間には、感情の波長のようなものがある。見聞色を鍛え始めたころ、自分は他人の感情を読み取る方が得意だった。
使うのはだいたい戦場であることと能力との相性上、状況把握の方を極めていったが。

違和感。
それは、その女の子が一般に小さい女の子が抱いてるような感情とは真逆のことを抱いていることだった。

悲しみ。
不安。
痛み。
絶望。
諦め。
恐怖。

見れば見るほど。

心の奥底まで。

「…………………………」

元々マイナスに極振りしていた針が

自分の中で振り切れたのが、分かった。

「…おい、どうかしたか？いつも通りだぞ」
「………………２人共、今から言うことよく聞いて」
「何でしょう？」
「……事故だったんだよ」
「「え？」」
「お手洗いが部屋に無かったから部屋を出た。そしたら道に迷ってしまって、さらに言えば部屋にも戻れなくなった。仕方がないからうろうろしてた。結果、見つけちゃっただけで」

そうだ、これでいこう。
これが１番自然で、かつあの女の子が責められることもない。もちろん自分も。トイレが備え付けられてないのが悪い。

「子供を使ってるあいつらに吐き気がしたわけでもなく、あの子が使われていることに気づいてわざと部屋を出たわけでもなく、もちろん怒ってるわけでもない。何も知らない、偶然起きた事故なんだよ」
「……何かに怒ってるのはわかりました」
「怒ってなんかいないさ。ただあいつらに見切りをつけただけでさァ」

２人のフォローをするつもりで来たのが、むしろ２人にフォローをされるかもしれない。
まァそれでもいいだろ、２人を信頼してるから。

ついうっかり力みすぎてちょっとドアノブをひしゃげさせてしまったけど、これもまァ仕方のないことでしょう。事故だからね。
見聞色で組織の人たちにバレないようにちょっと遠回りをしつつ女の子の部屋まで向かったのだって、トイレを探すためにうろうろしてただけだから。別に人に見られたらまずいだろうなというちょっとの理性が残っていたわけでは…………

いや理性は残ってないとダメだろ。

というか誰に言い訳してんだ自分は。