”家族”はここに居るから【MHA×ワンピース】 (ページ17)

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「……そうか、残念だよ」
「あああちょっと待ってって」

掴まれた腕を払って拘束されるのを防ぐ。
ついでに隙間に挟まれている足をどかそうとすねを思い切り蹴ろうとしたが、直前で避けられた。そのままアパートの通路を移動して距離をとられる。

捕縛布まで手に持って……完全に戦う気じゃん。
部屋の中からミスターがちらりとこちらを見てきた。視線はイレイザーに固定したまま、気づかれない程度に手でサインする。雰囲気からして見られちゃいけない人に見られてるってのは彼も分かっているはずだし。

「言っとくけど戦う気ナシでここに来たんだよ？夜も遅いしここでドンパチやったら近所迷惑っつーもんがある」
「…何が言いたい」
「今だけ休戦しない？って話」

すごく……すごく額にシワを寄せている。
”ヴィランを逃がすわけにはいかない”と”近所迷惑と言えば確かにその通りだ”でせめぎ合ってるのかな。後者側の意見に”元生徒の頼みだよ”くらいも付け足してもらえると助かるんだけど。

っつってもここで戦ってもメリットが無いのはこちらもそうだから、イレイザーの判断を静かに待とうと。
そうしたところで部屋の中のミスターがオッケーサインを出した。

「…残念時間切れ、判断は素早くしないとだったねイレイザー」
「……！？オイ待て！！」

開きかけだった扉からイレイザーまでは少し距離があった。
その距離を詰められる前に扉を閉めて鍵をかける。あの人なら扉蹴り開けるくらいはしそうだが、数秒の時間稼ぎにはなる。
それでいい。

「こっち！」
「分かってるってミスター…！」

ミスターに静かに開けておいてもらった窓から脱出。

下に落ちると見せかけて、ミスターを担いで”月歩”で上へ。
緊急脱出する際にはこうしようと事前に決めておいてよかった……。

いくら捕縛布を使って機動力を上げてるとはいえ、何もない上空に行けるわけはないし、そもそもこっちに”空に逃げる”っていう選択肢があることを覚えているかどうかもわからんし。

「……こんなところでいいかね」
「いいんじゃない？」

アパートから１ｋｍは離れたところで地面に降りる。
…黒霧と打ち合わせしておいた座標から随分遠いところまで来ちゃったなァ…………なんであんなジャストタイミングでイレイザーが帰宅なんて事が起きたんだろう。

「にしても見事なフラグ回収だったねぇ、びっくりしたよ」
「ごめんて」