君に負けたい【d!】

悪あがき【shp】 ページ3

ドサッ……！
さっきまで俺にカツアゲをしていた大柄の男が、俺の前に無様に倒れる。

『チッ……無駄に図体はでかいくせに金はこれぽっちかよ……てか、財布ダサ。安っぽすぎるやろ…。』

その男を倒したやつの正体は……、

「姉さん…、ありがと……。」

俺の姉、でありここらでは有名な負け知らずの強いヤンキー。
引きこもりでゲームばっかの俺と姉さんでは似ても似つかない。
まぁ、血が繋がっていないから当然か。

『ん、あぁおったんかショッピ。相変わらずよえー。』

ケラケラと愉快そうに大口を開けて笑うとピアスが見える……。
こんなとこにもしとったんか……何個開けとんねん。

｢うっさい、姉さんが強すぎるだけやろ。｣
『褒めんなよー(笑)あ！お礼は体でええで。』
｢は？！｣

『真に受けすぎ』とからかわれれば、顔に熱が集まるのがわかる。
くっそ、めっちゃくやしい…俺を助けてくれた時もかっこよくて少女漫画のヒロインになった気分やった。
正直少女漫画ですぐヒロインが顔を染める描写には疑問しか無かったが今となっては手に取るようにわかってしまう。
ほんとにかっこいいと自然と顔が暑なってまう。

『かっこよかったやろ？鍛えた甲斐があったわ、ほら見てみこの腹筋。』
｢恥ってもんがないんすか……｣

見ないように顔を背けるが、気になってチラッとみてみると、
すご、こんなに綺麗に腹筋がつくもんなんやな……。少し色気も感じるそれを見つめすぎたらしく、
『見すぎ』とまたからかわれた。

あーもーー！くやしい！！
どうにかして仕返ししてやりたい！！

かと言って力では勝てないし……

『っ……はぁ！笑った笑った！！ほんまおもろいなァ〜……あ！今日ババアたちおらんらしいでー。よし伝えた、じゃ。』

｢……まって、ねえさん。｣

一通り笑ったねえさんはそろそろ飽きてきたのか必要な報告を適当に済ませ、ここから去ろうとしていた。
それを俺は止め


「あ、あの……お礼せんのはあれやし、けどお金もないから…そ、その…か、からだで……返したってもええよ……。今日母さんおらへん、のやろ…？」

わざとらしく上目遣いをして【誘う】
こっちは恥ずかしさで死にそうになりながらお願いしとんのに姉さんは余裕な顔をしている。
くそ、嬉しそうにしやがって！

きっとこの後は泣かされるに決まっとるけど


これが精一杯の悪あがき。

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