三条、唯一の失敗作と謳われた刀［刀剣乱舞×男主］

弐拾 ページ23

「さて…と。」




三日月がいない間に腕の付け根を縛った布をきっちりと巻きなおす。






こうすれば出血量は抑えられ、貧血になって倒れる、といった最悪の可能性も防げる。





「うわぁ…」





着物が捲れ、露になった傷口は何気なく見るには刺激が強すぎる程度には大変なことになっていた





僕でもこれはちょっと…引く。




軽傷ですんでよかったとか呑気なことを考えていた数時間前の自分を殴りたい




これは中傷は堅い。…うん……頑張って治そ。




敵の返り血をたっぷり吸って赤黒く、ずっしりと重みを増していた服の代わりに黒い着流しを身につける




？「Aくん、入っていいかな？」




不意に聞こえた声に一瞬驚いたがその声に聞き覚えがあったため、瞬間的に構えていた警戒を解いた




「…どうぞ？」




すっと静かに襖が開き、案の定眼帯をつけた背の高い男の人が入ってきた




……見た目とは裏腹に手に持っているのは洗濯籠だったりする。





「えーっと…確か燭台切光忠…だっけ」




燭「そうだよー。初陣お疲れ様。その汚れた服頂戴。洗濯しておくから」





……え、お母さん？





僕はこの瞬間、主がこの人の事を「おかん」と呼んでいる理由をはっきり察した。




「えっと…ありがとう。お願いします」




目の前に差し出された洗濯籠の中にありがたく汚れた服を入れさせてもらう




燭「あ、あともうお風呂入っておいで。皆あがったよ。」




「あ、了解でーす…」




満足そうに可愛らしい鼻歌を歌いながら部屋を出て行った燭台切光忠。




何から何までありがとうお母さん。

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