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「んまい……!!」
「パンって一人二個だよね、朝晩?」
「それでいいんじゃないですかねぇ」
生地はふんわりとスポンジのような柔らかさで、何度も噛み続ける内にぐずぐずになったそれは何にも突っかかることなく喉を通り抜けていった。
いつも萎びて水分の抜けた固いパンしか食べていない分、余計に美味しさが増しているように感じられる。これが晩にも食べられるとは何足る至福であろうか。
これで温かいスープか飲み物でもあればさらに良かったのだが。無論コーン以外で。
「うーん、軍曹!けもさん!」
「なに?」
「温かいものが食べたいです!!」
「お湯でも飲んどけ」
「えーっ!?」
「寒いの?」
「そうじゃなくってさあ、ほら、私探しにいったりとか〜」
「要は外に行きたいと」
手に持っていたパンをまた一欠片口へ投げ、ごくんと飲み込みながらに私は二人をちらちらと白々しく見やる。なお、子供っぽい仕草というのはとうに自覚済みである。
二人は端と顔を見合わせて呆れたように溜め息を吐く。我が儘を言っているのは理解しているが、外に行けることに加えて運が良ければ二人の為にもなれるのだ。
「……はぁ、良いよ」
「ほんと!?わーい!!」
ただ、こっそり付いてくからね。
そう告げたけもさんの言葉は生憎気分が絶賛高揚中の私の耳には入ることなく、私は最後の一欠片というパンを無造作に口に含んだ。
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