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1人になったのはいいものの……。
A「……いた」
靴擦れしてしまい、人気のない石段に座り込み靴を脱ぐ。
さっきから帯の中で小刻みに揺れてるのは携帯。
絶対出てやらないんだから！
唇を尖らせて体育座りした膝に顔を埋める。
べっちゃんの馬鹿。馬鹿。馬鹿。
浮気するんだったらこんないっぱい電話しないでよ。
まるで追いかけてるみたいじゃん。
もう私怒ったよ。
A「……花火、綺麗だな」
少し離れた所で上がっている花火。
もっと近くで大きく見たかったのに。
A「もう！鬱陶しい！」
さっきから揺れ続けてる携帯に嫌気がさして、電源を切ろうと取り出した。
……ってあれ？
A「も、もしもし？」
表示されてたのは『テヒョンさん』という文字。
テヒョン『Aちゃん大変！』
A「へ！？」
電話越しのテヒョンさんは緊迫した声を出していて。
テヒョン『後ろ！！！危ない！』
A「！？」
慌てて振り返ると＿＿＿＿
テヒョン「やっほー」
……なにが危なかったのか。
少しイラつきつつも、電話を切る。＿＿＿＿そのまま電源まで切ってしまったことを知らず。
テヒョンさんとはバイト先でなるべく絡まないようにしてるけど、なにかと接点が多い。
テヒョン「よっ」
器用に石段を2つ飛ばしでテヒョンさんは降りてくると、私の隣に腰掛ける。
む。
私は1段下に降りようと＿＿＿＿え。
テヒョン「足やってるでしょ。無理に動かない方がいい。」
いつもと打って変わって真剣な表情のテヒョンさんに腕を掴まれる。
A「なんで、わかるんですか」
テヒョン「靴脱いでたらわかるでしょ」
テヒョンさんはそう言うと、さらに2段下に降りる。
A「わわ！な、なにするんですか！」
テヒョン「動かないの」
突然テヒョンさんに掴まれた左足首。
テヒョンさんはポーチから絆創膏を取り出すと、歯でﾋﾟｯとちぎる。
ぽむぽむプリン……。
テヒョン「よし。」
テヒョンさんは私の両足、赤くなってる所に貼ると靴を履かせてくれる。
A「あ、ありがとうございます」
テヒョン「いーえ」
……ってあれ？
A「なんでこんな所にいるんですか？」
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