干れたもん負け (ページ16)

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ベク「お先失礼しまーす」

「あぁ！ビョン君ごめんね突然延長なんか頼んで！」

ベク「いえ。いつも不定期でご迷惑おかけしてるので！」

本来なら断るはずだったバイトの残業。
どうやら9時～の人が熱で休んだらしい。

なぜ断れなかったかというと、

ベク「明日学校で会うんで死ねって言っておきます。チャニョルに。」

休んだやつが同じ人気店員であり同じ大学の友人であり同じマンションに住んでるチャニョルだからだ。

チャニョルとは言わば腐れ縁。

なんだかんだ中学から仲良しだ。

まぁ変わったやつで、俺との初会話も

チャニョル「俺は神だ！」

ベク「……は？」

チャニョル「まぁ見ればわかる！とりあえず右を向きたまえ」

言われた通り右を向けば

チャニョル「ほら！このように俺は人を動かす力を持っている！」

というようなすごぶる不気味な会話だった。

ベク「あいつ明日ぶっ飛ばす……！」

絶対熱なんかじゃねぇ。
女に決まってる……！(前科あり)

あいつと同率1位で首席とか許せないんだけど。

まぁそれは今はいい。

今は＿＿＿＿

ベク「ただいま」

家に着いたのは11時00分。

リビングのドアを開けると……

ベク「寝てる」

ソファーで寝てたA。
カバー少し湿ってるし。濡れた髪で横たわってたな。
明日洗おう。

可愛い寝顔を見つめてたいけど、とりあえずAを抱えてベットへ。

ゆっくり下ろせば

A「ん……」

上がる声。

ベク「ごめん。起こした？」

A「べっちゃんだー！」

ｷﾞｭｯってしがみついてくる可愛い存在。

ふにゃふにゃ笑ってるAは夢と現実がこんがらがっているようで。

A「一緒に寝よー……」

いや、もう寝てんじゃん。

俺まだご飯食べてないし、風呂も入ってない。
こんな状態でベット上がりたくねぇ。

……でも

ベク「明日一時間早く起きないといけなくなんじゃん」

朝起きてやればいっか。

俺を離さない体を引き寄せて布団に入った。

左手で目覚ましをセットした。

一時間早く起きるのは辛いけど、まぁこれも

ベク「惚れたもん負けだよな」

俺はAのおでこに口付けて目を閉じた。