干れたもん負け (ページ12)

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完全に惚れていた。

当時俺にも一応「彼女」というものがいたので、その子と別れるくらいAに夢中だった。

普段はどんなことをしてるんだろう？

きっと会話は面白いんだろうな。

彼氏はいるのかな？

とか。
Aを知りたくて知りたくて。
それくらいにAに夢中だった。

注文を聞きに来た時など、さりげなくその横顔を盗み見る。

＿＿＿＿うん。可愛い。

ちなみに同級生であるチャニョルに話したら「いや、相手高校生なんでしょ……？どうなの？っていうか別れちゃっていいの？」って。

確かに言われてみれば高校生に手を出す大学生って……どうなんだ？

まぁいい。(よくない)

とりあえず俺はAに完全にドハマリしていたのだ。

そしてある日の木曜日、事件は起きる。

Aさんに次会えるのは来週か～なんて思いながら俺はマンションの帰路を急いでいた。

今日の夕飯は、じゃがバタと渡り蟹のトマトクリームパスタ。

デザートにいちごオレを飲みながら、昨日作って冷蔵庫に冷やしてあるラフランスゼリーを食べよう。

意外とグルメな俺はとにかく蟹が腐らないうちに帰らないと！と思ってた矢先だった。

あれ、やばいやつ＿＿＿＿？

いつもの小道。

電柱に人を押さえつける男、そして押さえつける……制服を着てるから女子高生か。

言葉より行動が早かった。

今日のメイン料理の主役でもあるジャガイモを袋から取り出す。

そして

ｶｺｰｰﾝ、と綺麗な音と共に男の頭の顔が横に傾く。

お、クリーンヒット。
俺上手いじゃん。

って、しまった。
ジャガイモ１つしか買ってなかった。

ベク「あーあ。今日の夜飯の予定だったじゃがいも無駄にしたじゃん」

俺の言葉に驚いたのか女の子を押さえつけてた男が手を離す。

女の子は力が抜けたようでしゃがみこんでしまった。

そして勢いよく逃げ出し＿＿＿＿あ、落ちてるじゃがいもにコケた。

まぁいいや。
まずは

ベク「大丈夫ですか？」

座り込んでる女の子に声をかけると、ゆっくり顔を上げ＿＿＿＿

ベク「え？」

「お客さん……」

そこには毎週水曜日見かけるAさんがいた。