つれない彼女の愛しかた (ページ7)

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田中樹、25歳。

どうやら俺は、タイプではない女の子に恋をしてしまったみたいだ。

不覚。

やれ、みちょぱだ、ゆきぽよだ、ギャル女だと言っていた俺だけど、どうやら全く正反対のタイプに恋に落ちそうになっている。

一応言っておくけど、なってないから。なりそうなだけだから。

そいつは、身長が低くてちょっとぽっちゃりで、性格はまじめでちょっとドジっ子。

そんで声が小さい。

まん丸な目をきょろきょろさして、小さな体でぴょこぴょこ動いてるのがちょっとかわいーなとか思ったのが始まり。

子猫とかウサギとかに対するアレね。

だけどさ、愛着湧いてくんじゃん？

だからさー……。

いや、違うんだけど、

「いや、そこまで来たならハッキリ言えよ」

「うーと、違うんだけど、」

「何が違うんだよ」

話なげえよ。とちーかね＿＿俺のマブ兼近大樹が、手元のスナック菓子を口に入れた。
　

「ぜっったいメンバーに言うなよ」

「おーともよ」

爆モテじゅったんなんて呼ばれてる手前、メンバーには絶対(一人女女しい気持ちを抱えてるなんて)バレたくなくてわざわざEXITの兼近に(家にまで押しかけて)相談に乗ってもらっている俺。

なのに、その兼近からバレた日にゃ、家から出られなくなること間違いない。

「あのさぁ、……ちーかねのとこのマネでさ、ぽっちゃりの子いんじゃん」

「誰だよそれ」

いや、分かれよ！と恥ずかしさも極まって、心の中で叫んだが、ちーかねには届かず。

「黒髪の目が大きい…」

「あ、鴨狩か！」

アイドル様のぽっちゃりは当てになんねーな！なんて笑い飛ばすから、そうなのかとふと考えた。

思えば、小学生の頃からジャニーズに入って高校は芸能人ばかりの特殊なクラスだったから、自分の感覚と世間一般の感覚は案外ずれているのかもしれない。

「俺、鴨狩さんのこと、」

口に出そうとすると、ぶわっと顔に熱が集まる。

「だーーっ！やっぱりナシ！」

「いやそれ好きじゃん？！言えよじゅったん！ラクになるから！」

「麻薬捜査官みたいな吐かせ方するやつ信用できねえ！ぜってー言わねえ！」

恥ずかしくなって、目の前でニヤニヤするちーかねの顔にそこらへんにあったクッションを投げつけた。

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っていうのが去年の話なんだけど、未だに進展はないのが現実。

信じられる？

爆モテじゅったんの名にかけて、絶対メンバーには知られたくない。