つれない彼女の愛しかた (ページ4)

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＿＿＿＿＿昨日。

『お。おかえりー』

「ただいま。これ、帰りに買って来たんだけど…柚季さんに似合いそうと思って」

電話で晒した醜態を挽回しようと買った花を差し出すと、柚季さんはその花束を見てふわりと笑った。

『ありがとう。わぁ、きれい』

だけど、手渡そうとしたら、申し訳なさそうに俺を見たんだ。

『料理、まだ途中だから花瓶に入れるのお願いしていい？』

なんということだ！

俺は、俺のためにさんまを焼いてくれている彼女のことを考えずに花束を手渡そうとしてしまったのだ。

「そ、それは、すみませんでした」

平静を装って花瓶に花を生けようとするが、一輪こぼれ落ちたのを見てため息が出そうになった。

ロイヤルとは程遠いなぁ。

棚の上に飾ろうとリビングに運ぶと、キッチンの方から、『ぶしゅん』と明らかにクシャミ以外の何物でもない音が聞こえた。

振り向くと柚季さんが顔を赤くしながら片手で鼻を押さえていて、もしかして、と可能性が頭をよぎった。

「もしかして、」

「か、花粉症、なの……その花」

またしてもやってしまった！

柚季さんが『花瓶に入れるのお願いね』と言ったのは、クシャミをして俺に気を遣わすことのないようにだったのだ。

それなのに、俺は……！

「すみません！あの、じゃあこれ、明日事務所に持っていきますね」

慌てて花瓶を持って部屋を出ようとした俺の手を、柚季さんがそっと掴んだ。

『イヤ。今日、押し花にするから持ってかないで』

＿＿＿＿あなたのくれた花だから、ずっと取っておきたいの。

そう言われたら、それが彼女の優しい嘘だとしても、そうしてほしくなってしまう。

「わ、かりました」

今、なんとなくわかったことがある。

それはきっと、これからも俺は貴女に空回ってしまうんだろうということだ。

柚季さん＿＿＿貴女のことが好きすぎて。

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『舘様は今日も空回る』【宮舘涼太】

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿完。