摂氏2度 ページ2
薄手のTシャツを着たAが隣で虚ろな目をしている。その背中をあやすように優しく叩く。
いつも行為が終わったあとはこうしてやっている。我ながら健気な男だこと。
｢また振られたん？｣
｢うん。わたしが重いって振られた…。｣
せやろな、という言葉は喉奥で閉じ込めた。
キャスターに手を伸ばし、煙草に火をつける。それをじっと見つめてくるA。
｢1本ちょうだい。｣
｢お前、オプション1ミリもまともに吸えんのやからやめとき。｣
｢吸える。｣
しばらくじっと見つめ合い、渋々ライターと煙草を手渡すと慣れた手つきで煙草をつけた。
口から吐き出せた煙は薄く、言葉通りに吸えてることが分かる。
｢あんな軽いの吸えるわけないよ。風味だけ楽しんでたの。｣
｢そか。｣
｢元彼に合わせてただけ。あんなだっさいの吸っててイキってるとかほんま無理。｣
全国のオプション1ミリ吸っとるみなさん。Aを代理して謝罪します。
お前も前、ピア〇ッシモ吸っとったやろが。
｢そういや、お前家はどうするん？一緒に住んどったんやろ？｣
｢解約した。アイツ、他の女連れ込んでたしそんな家に住めないから。｣
｢あー、なるほどなぁ。｣
この口ぶりからするに前から相手は浮気していたのだろう。こいつもこいつで、振られると冷めるようでとことん嫌うようだ。
｢違約金どないしたん？｣
｢払わせた。わたしの名義じゃないし、今バイトクビになったばっかりだし、ネカフェに寝泊まりしてる。｣
｢お前なぁ…。｣
行動力があるのは良い事だが、後先考えずに行動するのは褒められたものではない。
火種をすり潰し、嗜めるようにじろりと見ると顔をそらされた。
｢ほんましゃーない奴なぁ。家が決まるまでうちにおってえぇからはよ見つけや。｣
｢鬱、女の子連れ込むじゃん。｣
｢ばっか！Aがおるのに連れ込むとかそれこそ修羅場やわ。｣
同じく火種をすり潰したAがふてた顔でこちらを見てくる。
｢俺の仕事知っとるやろ？それだけ邪魔せんのやったら好きに過ごしてえぇから。｣
｢…。｣
｢返事は？｣
｢はぁい。｣
もぞもぞと布団に潜り込み、Aは俺の胸元付近で猫のように丸くなって寝息を立て始めた。
ほんま、こいつ俺がおらんとダメやな。
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まりも(プロフ) - はぁな。さん» 星の数ほど作品がある中、ここまでたどり着きありがとうございます！励みになりました！お時間のある時に別作品もお目通し頂ければ嬉しいです♬︎♡ (2021年11月13日 17時) (
レス) id: ce69082adc (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - あ、あの！この作品今日見つけて、一気に読んでたんですけど、ものすっごく夢主ちゃん好みです！！最後の幸せそうな2人が好きすぎてもう…他の作品も読ませてもらいますね！ (2021年11月12日 16時) (レス) @page37 id: 523b12b408 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ゆうなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！テンポよく進めたくて頑張りました笑 夢主は天真爛漫に近いイメージでやっていたので、好みと仰っていただき恐縮です！また、お暇の際他作品もご覧下さい♬︎ (2021年10月20日 20時) (レス) id: ce69082adc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - めっっっっっちゃ！いい話でした！！やっぱり最後の鬱がホームで想いを伝えるところで涙がぽたりと、凄く読みやすくて尚且つ夢主の性格や言動なんかもすごい好みでした！ほかのさくひんもよみます！！！！ (2021年10月20日 10時) (レス) @page37 id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりも | 作成日時：2021年10月4日 20時
