ペルソナ5短編集

君に特別な予告状を 【雨宮蓮】 ページ2

ﾚﾝ｢え、心を盗んでほしい？｣
ある言葉に、蓮は驚き顔で彼女を見つめる
｢はい｣
Aは、その言葉に答えるようにそう返す
ﾚﾝ｢…何かの冗談か？｣
｢(ﾌﾙﾌﾙ)大真面目ですよ、冗談抜きです｣
蓮は信じられなかった、今までずっと共に戦ってきたAが、そう頼んできたことが、そんな蓮の言葉に、Aは否定するように首を振る
ﾚﾝ｢本気なのか｣
｢(ｺｸ)｣
ﾚﾝ｢…理由を…聞かせてくれないか？｣
｢理由…ですか…｣
Aは少し考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた
｢私は、今まで蓮さんと、皆さんと出会って、色々な経験をしてきました、数々の戦いの中で、皆さんは私を頼ってくれて、認めてくれた、それがとても嬉しかった｣
ﾚﾝ｢…｣
｢でも、それが続いていくうちに、私は、それ以上のものを求めるようになった、強さに対して、執着するようになったんです、皆さんの、役に立ちたいがために、その心は、いつしか歪み、今現在も私の心の中に埋まっている｣
ﾚﾝ｢それで俺に…心を盗んでほしいと｣
Aは蓮に、自身の現状を語った、蓮は全て理解したように、Aにそう尋ねた
｢はい…今は何とか制御できていますが…このままこの状況が続けば…きっと私も…鴨志田や斑目のように…外れた道を進んでしまう｣
ﾚﾝ｢…｣
｢もう一度お願いします、蓮さん、私の心…盗んでください｣
Aは深刻そうに蓮に言ったあと、自身の心部に手を当てながらもう一度蓮にそう頼んだ
ﾚﾝ｢…Aは…それでいいのか…？｣
｢…はい｣
ﾚﾝ｢心を盗むということは…Aを改心させるということだ…改心にはリスクが伴う…最悪の場合…Aは廃人化して…死んでしまうかもしれない｣
｢そのことは承知の上です、その上で、こうして頼んでいます｣
ﾚﾝ｢…後悔はしないか？｣
｢覚悟はできてます｣
真っ直ぐに蓮を見つめたまま、Aはそう返事をする、蓮はAを見つめ返して少し黙り込んだが、覚悟が決まったようにAに向かって言葉を投げかけた
ﾚﾝ｢分かった、俺が必ず、Aの心を頂戴しよう｣
自分の心を盗んでほしい、そういった頼みは双葉のとき以来だが、Aが心から助けを求めていることに変わりは無い
｢…ありがとうございます｣
その言葉を聞いて、Aは少しホッとしたような表情を浮かべた
｢じゃあ、お願いしますね｣
ﾚﾝ｢あぁ、必ず救ってみせる｣
誰もいないカフェの屋根裏部屋、2人はそう言葉を交わしたのだった

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