▽Case1 後ろの席 ページ2
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「それじゃ、席替えするか」
先生のその一言を皮切りに、クラスは歓喜の声で溢れた。わかる、分かるぞみんな。うん、早く席替えしよう。
先生が用意してくれたくじを引き、待機中。お世話になった祐基くんに挨拶でもしようかなぁと思い横を向いたら祐基くんが俯きがちになり、悲しそうな顔をしていた
「Aちゃん…」
「え、」
「僕、Aちゃんが隣の席で楽しかったよ…」
「あ、ありがとう…」
「だからちょっと寂しいな、」
なんて可愛いことを言ってくれるんでしょうか。そんなことを言われたら私もちょっと寂しくなってきた。もう席替えしなくてもいい…とまでは流石に思わないけど、祐基くん。いい人だな本当に…
「さ、みんなくじ開けていいぞー」
隣人祐基くんとの別れを惜しんでいたら最後の人までくじがまわっていたらしい。
みんなが一斉にくじを開け、自分が何番だったかを報告し合って盛り上がっていた。
ちなみに私は…
「え、待って!39番!後ろから2番目!!」
脱、最前列。しかも窓際。ありがとう神様本当にいい日だ…
あまりの良席に嬉しさを噛み締めていると祐基くんが叫び出した。
「Aちゃん!僕33番!隣!隣!!」
単語しか話せなくなった祐基くんの言葉にフリーズした。こんなことあるんだろうか。ここまで運がいいと逆に怖くなってくるけどまあいいや、今までの辛さが報われるってことで!
周りは既にぞろぞろと席の移動を始めていた。
私達も動こうか、と祐基くんと共に席を離れ新しい自分の席に着いた。
3ヶ月ぶりの後方の席にテンションが上がりきょろきょろしていると、後ろの席の人と目が合う。
…あ、ムードメーカー福田くんじゃないか。
そういえば話したこと無かったっけ、挨拶だけしとこ。
「福田くん、AAです。よろしく!」
…
「うん。」
福田くんは一瞬だったが、じっと私の目を捉えあまりに素っ気ない返事を放った。
え、なに今の…
ムードメーカーというイメージと違いすぎるその態度に少し動揺したが、すぐに福田くんは私の隣の祐基くんに気づき顔色を180度変えていた
「祐基ー!めっちゃ近いじゃん!」
「おー佑亮!うるさくなりそう…」
「なんだよぉ!そんな事言わないの!」
2人の会話に周りの席の人達が笑顔になる中、私は福田くんのあの目が頭から離れないでいた。
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みな - ありがとうございます!!!頑張ってください、冗談抜きで1日に何回か読んでるくらい好きです!!! (2019年3月29日 17時) (レス) id: 47d8e4dfd5 (このIDを非表示/違反報告)
すくらんぶるたまご(プロフ) - みなさん» ひぇ…嬉しいお言葉ありがとうございます…!おもしろいお話書けるように頑張るのでしっかり寝てくださいね!!!! (2019年3月29日 8時) (レス) id: cc0e78c58e (このIDを非表示/違反報告)
みな - 続きが気になって寝れないどーしよ!!!!!!!!!、 (2019年3月29日 3時) (レス) id: 47d8e4dfd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すくらんぶるたまご | 作成日時:2019年3月25日 3時