同情と恋心 2 (ページ12)

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お家までページ12

私は隣で悲しそうな顔をしながら寝ている玉森さんを見て責任を感じていた。

そして、私が振ってしまったが故にこうなった以上、今日が終わるまでは玉森さんに寄り添っていようと決めた。

だから、私は玉森さんの握る手をそのままに、いつの間にか受け入れてしまっていた。

そのまま少しだけ時間が過ぎた。

私も玉森さんに包まれた手に安心感を覚え、少し眠くなってしまった。

そして車窓を眺めながらウトウトし始めた時、急に肩に重みを感じた。

はっと目が覚めると私の肩に玉森さんが寄っかかってきていた。

手は握ったまま、私にもたれかかって来たのだ。

その状況を把握した途端、またもや心臓がバクバクし始めた。

絶対に玉森さんには聞こえていた。

【ねぇ！玉森さん！！顔が近いよ！！

待って、待って、無理だよ～近すぎる～～

こんなのドキドキが聞こえちゃってるよ～(＞＜)】

でも、起こそうにも気持ちよさそうに寝ているから起こせなかった。

ドキドキが止まらないまま時間が経ち、少ししてタクシーが止まった。

(運転手)「あのぉ、目的地周辺なんですけど、こちらでよろしいですか？」

私は玉森さんの家を知らないからもうここで降りるしかないと思った。

「あっ、はい！おいくらですか？」

私はお金を払い、玉森さんを起こしてタクシーから降ろした。

とりあえず、降りてみたものの、玉森さんが案内しないと家が分からない。

「あの！玉森さん！

おうちまで案内できますか？」

玉森さんは返事はしないものの、家までのルートは分かっている様だった。

玉森さん一人では不安だったので、私は玉森さんを支えながら、玉森さんの向かう方向について行った。

途中でまたもやフワッと手を握られたが、私はもう抵抗しなかった。

少し歩くとすごく高級そうなマンションについた。

エントランスに入ると慣れた手つきでロックを解除していた。

エレベーターに乗り込むと玉森さんが急に口を開いた。

(玉森)「ごめんね…。」

ただ一言これだけだった。

私はその一言の重みが痛いほど伝わってきて思わずこう返した。

「玉森さんは悪くないです。悪いのは私なので、自分を責めないでください。

今だけ。

私もこうして居たいですから。」

そう言って、繋いでいた手を少し握り返した。

私はこの瞬間、好きな人といるというすごく幸せな中に、居場所のない寂しさを感じていた。