同情と恋心 2 (ページ11)

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タクシーページ11

北山さんのおかげでというか、せいでというか、結局玉森さんを家まで送ることになった。

(北山)「外までは俺も着いていくわ。

とりあえずお会計だけ済ませてくる！待ってて。

あっ、玉森の帰る準備だけさせといてもらえる？」

そう言って北山さんは部屋を出た。

とりあえず、玉森さんのジャケットを取って玉森さんの所に持って行った。そしてカバンを閉めて一回起きたのにまた寝てしまっている玉森さんを起こそうとした。

「あのっ、玉森さん！起きてください！

帰りますよ！お家に帰りましょ？大丈夫ですか？」

(玉森)「んん～、」

玉森さんは目を瞑ったまま体だけ起こした。

私はジャケットだけは羽織らせてカバンは自分で持つことにした。

そうしてると北山さんが帰ってきて、北山さんと一緒に玉森さんを外まで連れていった。

外に出ると北山さんがタクシーを拾ってくれて、1万円を私に握らせてくれた。

(北山)「これタクシー代！

玉森のことよろしく！(笑)

なんかあったら連絡して。

とりあえず、俺は行けないかもしれないけど、マネージャーにでも行かせるし！(笑)」

北山さんは玉森さんの家の場所を知っているのかサラッと運転手に行き先を伝えてくれた。

そして、玉森さんと私はタクシーに乗せられて、北山さんとは別れた。

タクシーの中では玉森さんはぐったり寝ているようだった。

それでも、私は久しぶりのこの感覚にドキドキしていた。

そっと玉森さんが寝ている横顔を少し除くと頬に伝うキラッとしたものか見えた。

えっ、と思った瞬間

ギュッ

玉森さんが急に私の手を握ってきた。

私は玉森さんに聞こえてるんじゃないかと思うくらいに胸の鼓動が大きくなっていた。

私はこの状況をどうしていいか分からずに固まっていたら

玉森さんの握る手の力が強くなってきた。

私はその手から伝わる玉森さんの想い、痛いほど分かってしまった。

こんな私に告白するだけなのに、玉森さんなりに頑張ってくれていた。すっごく勇気がいることなのは私もわかってる。

それなのに私が振ってしまった。

玉森さんの仕事柄、こうやって振られることによって仕事とプライベートのバランスについて悩んでしまうのだろう。

お酒もやけ酒に近い形で飲んだのだろう。

そんな弱くなっている玉森さんを見て、私も辛かった。

玉森さんの想いに応えれない私の無力さに胸が痛かった。