第八話「暇潰し」 ページ9
少年は撫でられた頭を押さえ、不思議そうな表情を浮かべていた。
なんだ、無愛想だと思っていたけど、よく見れば意外に表情豊かじゃないか。
そして、次の新月は5日後とのこと。それまでは特にやることもないため、少し自由にしてもいいらしい。……こんだけ日があるんだったら本をもっと沢山持ってくるべきだったよ!
***
死ぬほどやる事がない。
おじさんは少年、泥田坊くんの手伝いをするとの事。……泥田坊って普通に悪口だよね。やっぱ少年呼びの方がいいや。
私は行けたら行くと社交辞令のような返しをして見送った。
だがしかし。本当にやる事がない。暇すぎて天井の木の皺を端から順に数え始める始末である。
さっきまで使っていたスマホは電池量が危うかったので充電中で、遠くの方でピコンピコン通知音が鳴ってるが動くことすら億劫になってしまった。彼らからのLINEを未読スルーしてるような気になってしまうが動きたくない。このまま地に根が生えた樹木のように眠りたい。
しかし暇である。やっぱり暇潰しがてら彼らの元へ行こう。電池量の半分ほど充電できた頃を見計らって外に出て歩く事数分、向かった先には少年と共に畑仕事をしているおじさんの姿。激しく似合わね〜〜。おじさんだけ都会感丸出しだよ。
先ほど歩き回ってようやく見つけた自販機で(しかもほぼジュース類は売り切れていた)私の分の水と、ついでにお茶を2つ買って彼らの元へ歩いた。
「お疲れ〜。おじさん、お茶の差し入れ持ってきたよ」
「おっA。気がきくな、あんがとさん」
「……あーっと。しょ、少年。君のもあるけどいる?」
「……?俺に、ですか?」
「お、おう……君にさ」
土で固くなってる側溝を歩きながらおじさんの近くに寄り、地味におじさんが壁となって少年が隠れるような場所に立った。
上からお前なんで今更人見知りしてんの的な視線を感じるがスルーしとく。だってなんか、めちゃくちゃガン見されてますしおすし……シセンコワイ……
おじさんの陰から恐る恐るお茶(お〜い○茶500ml)を差し出す。少年は戸惑ったように私とお茶を見比べていた。まるで初めての体験のような対応だ。
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あさり(プロフ) - 夢小説特有の面白みもありつつ、しっかりと原作沿いにも成っていてこれは良作 (2020年7月16日 15時) (レス) id: 32331818c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月13日 18時