第四十二話「にゃんにゃん」 ページ43
隣にいたシキくんは突如ギョッとした様子で口を押さえてたので何だと思いつつ頭だけ後ろに向ける。
そこには、身体は丸っきりネコだが顔は人間(しかもオッサン)というおぞましいキメラのようなものが「マオニャンマオニャン」言いながらカラスの死体やらネズミの死骸を咥えてるのが見えた。
私はそっと顔を戻した。
けっして、なにも、みてない。
「元・客だよ。そこのお兄さんと一緒。でもヘンだね、猫になってないってことは誘惑しきれてないってことなのに。
まーいいや、届けてくれてありがとね」
「誘惑ではありません」
「はぁ?」
「恋です」
真面目な顔でそう言い切った夏羽くんに、馬鹿にしたように笑うネコ。
今更だけど、ネコなのにこいつニャンニャン言わないな。ネコならネコらしくニャンニャン言えよ!人間に変身した時だけかよニャンニャン言うのは!かわいこぶってニャンニャン鳴けよ!ニャン!!
すると上にいた存在が静かに地上に降りた気配がした。気付いて振り向いた時にはネコが少女に首根っこを掴まれた状態で持ち上げられていた。
……行動だけだったら少女も十分ネコに似ている気がする。
「おめーいつの間に!」
「すごい」
「だろう。……夏羽、何故ソイツを抱えている?」
「Aは十分に走れる様子じゃなかったから」
「もう走れるよ夏羽くん……今なら(恥ずかしさのあまり)どこまででも走れそうだよ……」
「そうか、ならもう心配いらないな」
夏羽くんにそっと降ろされた。ちょ、タイミングェ……ネコも困惑してるだろうがよぉぉ……でもありがとう。
少女はその様子を見た後、私たちの後ろにいた依頼人に「ん」とネコを差し出した。(一瞬少女が不器用ながらもサツキに傘を差し出すカンタに見えたが当たり前だが気のせいだった)
「おまえの標的だ。早く用件を言え」
フギャーフギャーと暴れるネコを前に、依頼人は明らかに困惑した様子を見せる。そして、また依頼人の顔が「ネコ」に変わろうとしているのが見えた。
「う……ウソみたいだけど……キミが…あのまおちゃんなんだね……ホントに……」
そう呟いた後、思い出したかのようにあのネズミinショルダーバッグを取り出し、「よ、よかったら、受け取って……」とネコへ差し出した。
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あさり(プロフ) - 夢小説特有の面白みもありつつ、しっかりと原作沿いにも成っていてこれは良作 (2020年7月16日 15時) (レス) id: 32331818c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月13日 18時