ケモノである私は今日も奮闘する。１【怪物事変】 (ページ42)

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第四十一話「俵担ぎ」ページ42

ズゴゴゴ、ともう無くなったクリームソーダをストローで吸い続けてると、どうやら『マオちゃん』は22時ごろまで仕事をするらしいのでここで張り込みだとシキくんが言った。

シキくん、昔と比べてかなり成長したなぁ。

「おい、Aは何か食わねーの？」

「えっ、あ、じゃあいちごパフェ食べる」

そして今までぼーっとしてたから気付かなかったが、22時まで1時間半以上あった。

………暇すぎワロタ。

＊＊＊

眠すぎてウトウトしていたら、「おい、A行くぞ！」と急にシキくんに肩を揺さぶられた。

「えっ何事。敵襲？」

「何バカなこと言ってんだ、ターゲットが来たんだよ！」

マジか。

寝ぼけ眼を擦り椅子から降りて走り出そうとするも、覚束ない足取りになってしまい危うく転倒しかけたところを夏羽くんが支えてくれた。私マジで足手纏いすぎワロタ。ワロタ……

「ご、ごめんな夏羽くん。助かる」

「構わない。走れる？」

「走れるっちゃ走れるけど、多分遅れるから先行ってていいよ」

「だったら、俺がAを背負って走る」

「え、いや、それは申し訳な……ってちょ、オオオ？！？！」

しゃがんだ状態で言う夏羽くんに断ろうとしたが、シキくんたちがもう外に出てくのを見た夏羽くんは有無を言わさず私を片手で持ち上げ、俵を運ぶかのような体制のまま走った！やっぱり夏羽くん力持ちだねってそんな悠長な事思ってる場合か！

遊楽街(しかも夜)に着ぐるみを着た私を抱えた子供が爆走してるって事でかなり注目浴びてて、ヒイイイ！！

「か、夏羽くんんんん！！！この状態は精神的に優しくないから降ろ、ぐえぇ」

「走れないなら無理しちゃダメだ。俺は力には自信がある。だから気にしないで」

「ちが、っそういう事じゃないのおおお」

器用に人の隙間を縫って走る夏羽くんは、ガッチリ私を掴んで離さなかった。

しかも追っていた目的のネコを路地裏へ追い詰めてもなおこの状態のままだった。羞恥で！また！人が死ぬ！

「お前何夏羽に抱えられてんだよ」

「返す言葉もございません……」

顔を両手で隠し、シキくんからの「マジかよお前」って感じの視線から逃げた。どれもこれも優しすぎる夏羽くんが悪いのよ……頼りない年上で誠に(以下略

しかもその間も側から見たらただのネコ(しかし喋る)に真面目に話しかけている夏羽くん。いつの間にかコンちゃんがいなくなっていたが、頭上に人の存在感じたので察した。少女はネコを捕まえる係か。