第三十七話「キャットファイト」 ページ38
なんだかおかしな状況に首を傾げると、ピザを食べていた少女の手がピタリと止まった。
そして何故か私を凝視した。……え?
「私の火の玉を打ち返したお前。もしかしたら……お前の首を持ち帰り飯生さまに献上すれば、飯生さまは喜ぶかもしれない」
「えっ」
「飯生さまは珍しい物と綺麗なものがお好きだ。だからお前の首も持っていけば、もっと紺を褒めてくれるはずだ!」
「何そのトンデモ理論。ってちょ、えええ」
そう叫んだと同時に、少女は片手にピザを持ったまま器用に跳躍し、私に飛びかかって来た……嘘だろ!?
切りかかってきた手を避け、そう広くはないリビングの中を逃げ回る。
「ちょ、っ落ち着け少女!!私だけの首を持ち帰ったところで、イナリさまはきっと喜ばないよ!?」
「知ったような口を利くな!お前に飯生さまの何がわかる!!」
「何も分かんねえからこうやって訴えてんだよ!!」
尖った爪や鋭い蹴りを避け続け、時には刀で(斬りつけはしないが)応戦するという謎の攻防戦を繰り広げる。というより武器あり何でもありのキャットファイト?
まあすぐにおじさんと夏羽くんに助けられたので事なきを得た。今思えば家の中で何やってんだって感じですよね。
「A、無事?」
「な、な、Aちゃん大丈夫ー?!」
「ああうん、大丈夫だよ2人とも。よく分からんけど暴れてごめん」
「お前、あんなん相手によく無傷でいられたな」
「ちょ、バケモノを見るような目で私を見ないでよシキくん」
何故か被害者の私が引いた目で見られるという。理不尽。私が襲われた立場なのに。
少女は今でも敵意剥き出しで、今にも私と夏羽くんに襲いかからんばかりだが、おじさんの「飯生に怒られるぞ」の一言で今は何故かゴミの片付けをし始めた。
あっ、この子、かなり頭が弱いんだな。
カランカラン……
すると、店の方から音がなった。
誰か来たようだ。
***
店に置いてあった酒を浴びるように飲み、ぐでんぐでんな状態になっているのは客である男の人。
どうやら女性関係に悩んでるようで、対象である女性には連絡先はおろか名前すら教えてもらえないという。そんなん脈なんて無いに等しいじゃん。
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あさり(プロフ) - 夢小説特有の面白みもありつつ、しっかりと原作沿いにも成っていてこれは良作 (2020年7月16日 15時) (レス) id: 32331818c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月13日 18時