第二十三話「おともだち」 ページ24
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あっさり目覚めた。
しかもいつもより1時間程前に起きてしまった。
ムクリと起き上がって欠伸をこぼす。たぶん昨日ちょくちょく寝まくってたからだな。中途半端に寝るのが一番ダメだね。
布団をたたみ、寝癖を直して着ぐるみに着替える。最近買ってないからバリエーションが増えないなあ……また頼みに行かなければ。
強固な寝癖をフードで隠しながら廊下を歩く。その時チラリと隣の部屋を見てみたが、1つのハンモックが増えただけで(たぶん少年のやつ)誰もいなかった。あれ?また仕事に行った?
トコトコとリビングの方へ向かうと、誰かがシンクの前に立っているのが見えた。どうやら溜まりに溜まった食器を洗ってるようだ。
「……あれ、少年?」
「おはようございます、Aさん」
「うん、おはよう……わざわざソレやってくれたの?」
「やる事が無かったので」
「君はホント働き者だな……」
手際よく食器を洗っていく少年。たぶんあの村に住んでた時からやってたんだろうな。
洗い終わったものが横に綺麗に揃えられていたので、私が運んで棚に片付けていく。
「ありがとうございます。何処に片付けて良いのか分からなかったので助かりました」
「いえいえ、こっちこそやらせちゃってゴメンね。
……というか、その、敬語じゃなくていいよ。年齢もそんなに離れてないわけだし、堅苦しいのはやめにしようぜ。名前も呼び捨てで大丈夫だから」
「呼び捨て、……俺が、良いんですか?」
「全然良いよ。仲良くしようや少年、これから一緒に暮らしていくんだから」
「……分かった。A。……その、俺も一つだけ、言いたいことがあった」
「うん?何?」
「俺のこと、少年じゃなくて夏羽って呼んでほしい」
「………ああ、ごめんね。ずっと少年呼びしてたから慣れちゃってたよ。すまんな少年」
「名前」
「……夏羽くん」
「呼び捨てで良い」
「いや、これは癖で。みんな「くん」付けしてるからさ」
「そうなのか。ならそれで」
コクリと頷きそう言う夏羽くんに、何だかむず痒い感じがして苦笑いをこぼした。
なんだか彼と一気に距離が縮まった気がして。「友達」になるって、こういう事なのだろうか?
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あさり(プロフ) - 夢小説特有の面白みもありつつ、しっかりと原作沿いにも成っていてこれは良作 (2020年7月16日 15時) (レス) id: 32331818c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月13日 18時