ケモノである私は今日も奮闘する。１【怪物事変】 (ページ21)

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第二十話「困惑」ページ21

その時丁度おじさんが戻ってきて、少年の分の夕食を渡しているようだ。……私の分のパンはちゃんとあるだろうか。なんか心配だな。また変な味の惣菜パンとか買ってないと良いけど。

少年はおじさんと何か話していたが、おじさんが運転を再開して数分経つとやがて静かになった。

そして、背中にちょっとした違和感。
え？触られてる？というか摩られてる？摩られてないこれ？？だって背中がザワザワしてる。

薄く目を開け、恐る恐る振り返ってみる。私の背中に伸びていたのは手。しかもその手の持ち主とバッチリ目が合ってしまった。

「………あの、えっと、少年？」

「はい」

「一体何を？」

「寝息が聞こえなかったので、また気分を悪くしてるのかと思い」

「いや、その、これはただ単に寝ようとしただけだというかなんというか……気持ち悪くはないからね。大丈夫だよ」

「そうでしたか。なら良かったです」

「……」

「……」

「………あの、少年？」

「はい」

「何故まだ摩り続けているの……？」

「貴女が眠りに就くまでやろうかと……」

「えっ、いや、それは………」

「……俺にこうされるのは嫌でしたか？」

「えっ！いやそんな事はな、あっいや、えっと、え～～………おじさん私の夕食くれ！！」

「助手席に置いてあるから持ってけ。俺運転中だから手ぇ離せない～」

アッはい、と返事をしてゴロンと上半身を起こす。「気ぃ遣ってくれてありがとね少年」とお礼を言えば、彼は「いえ」と一言返す。

立ち上がって助手席に手を伸ばし、置いてあったコンビニ袋を掴んで広げる。……やっぱり変な味のおにぎりが数個見つけた。おじさんの味覚どうなってんの？

「少年、君はもう食べた？」

「はい。おにぎりを一つ頂きました」

「一つで足りる？遠慮なくいっぱい食べなよ」

「いえ、もう充分です。お気遣いありがとうございます」

「あ、そう？じゃあ私はこれにしよ」

「……」

「……うん、このパン美味い。てかまともな味のパンがこれだけって何なの？」

「買い出しに着いてこなかった奴が文句言うんじゃないの」

「ぐうの音」

「………」

「………」

「………」

「………」

「………」

「……しょ、少年？さっきからどうした？もしかしてこのパン食べたい？」

「いえ、大丈夫です」

「あ、そう……」

じゃあどうしてガン見してくるの……ちょっと食べ辛いぞ？私変な食べ方でもしてた？