ケモノである私は今日も奮闘する。１【怪物事変】 (ページ18)

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第十七話「正体」ページ18

「な、何さ！こんな事やっといて、悲しみにも浸らせてくれないの！？ううっ、こ、この心無き機械仕掛けの仕事人間！！競馬で破滅するくらい大損しろ！！」

「やめろ縁起悪い！今度の賭けは飛ばす勢いでやるつもりなんだからそんな事いうな！！
……じゃなくて！おい、いい加減言う事聞けA」

「何、ほんとに、何なんだよ……連れてくならちょっと待ってよ……彼の顔を覚えてから帰」

「聞けってんだろもう一回デコピン食らわすぞ」

「何」

「ソイツは生きてる」

「………は？」

「だから、ソイツは、生きてるって」

「ハァ？何言ってんの？おじさんが撃ち抜いたじゃんか、今！他でもない、貴方が！！少年の頭を！！」

「……あのな、前言ったろ？夏羽は半妖だ」

「聞いたよ！知ってるよそんなこと！！だからって……………あれ、そういや……この子、何のハーフなの？」

「屍鬼」

「………」

「知っての通り、殺しても死なないのが特徴の怪物だな」

「………」

「………」

「……………………おじさん」

「何ですか」

「……………………今なら、心の底から湧き上がる羞恥で、安らかに、死ねる気がする」

「不死身のようなヤツが何言ってんの」

地面に頭をつけて体を丸めた。うううぐうぅぅと呻くように低く声を漏らす。今の私は体中真っ赤に染まっていることだろう。やけに顔が、特に頰が熱い。

つまり、おじさんは夏羽くんを本気で殺そうとしたわけではなくて。
焦った私は、混乱した私は、本当におじさんが少年を殺そうとしてると勘違いして、あんな前に飛び出て、殺させない！って、不死身の屍鬼である少年を庇って、必死に……

私は、私は……あんな……あんなクソほど真面目に……！！何だこれ、まるで側から見たらただの茶番劇じゃないか！！！ああああ！！！！

そしておじさんから全ての内容を聞いた。
かなりの罪悪感から地べたに正座をして拝聴。おじさんから降り注ぐニヤニヤとした視線は完全に、この事をめちゃくちゃ面白がっている。