第十四話「犯人」 ページ15
崩れた壁の隙間から月の光が差し込む。
その光に照らされるように、巨大なツノを持った鹿のような化け物が姿を現した。
その口は、赤黒い血で染まっていた。
「ウワッ出た!デカっ!こっちが本命か」
「A!!」
「あ、ハァイ!!」
おじさんの声に反応し、すぐさま小屋へ駆け出し右手から刀を出現させ邪魔な壁もろもろを斬り崩す。刀を振り回すにもこの壁は邪魔すぎた。
まあこの辺はね!仕事だとか言っときゃ許されるからね!この小屋の持ち主さんゴメンね!
充分弾道が通る道を作ったところでおじさんが持っていた銃で発砲し、全発を化け物シカの首にぶち込んだ。
しかし首の皮一枚だけで繋がった状態なのにも関わらず、シカはおぞましい咆哮を上げる。何こいつ、超しぶといんだけど!
すかさず飛び出そうとした私よりも早く、少年が私を遮るように先に出て、シカの口に手を突き込み力任せに首を引き千切った。…お、おう!中々勇ましいな少年!
でも、思っくそ至近距離から「ブチィッ!!」って音聞いてしまった。私こういう音苦手なんだよな……だからなるべく一振りで斬り捨てるのをモットーとしてるんだ……唐突の自分語り……
ハイな気分から一変し、通常のテンションに戻った私はゲンナリした気分を抱えて腐臭がする小屋から出た。
ずっと我慢してたけどやっぱ無理。この吐き気のする臭いにやられた。鼻が曲がりそうてか、曲がってない?
吐き気をこらえつつその場に蹲る私を見兼ねたのか、後から小屋を出てきた少年がぎこちなく背中をさすってくれた。優しいな少年、こんな情けない姿を晒す私を介抱してくれるなんて。
だけど君が半妖なんて知らなかったよ少年。今年一の驚きと言っても過言じゃないよ。
問題の事件が解決したところでおじさんは弥太郎くんを抱えて歩き出した。その後ろを私と少年が続く。少年のおかげでだいぶ気分が楽になったようで普通に歩くことが出来た。本当サンキューな少年!
そういえば少年はずっと(ほぼ無表情ではあるが)思い詰めたような顔をしている。一体どうしたんだろう。
気になって聞いてみようと思ったが、少年は突然「困りました」と呟いた。
「もうここにはいられません。弥太郎は俺の正体を知りました。一連の事件の犯人は俺ということにされるでしょう」
「えっ。でしょうってアンタ、そんな他人事みたいに」
「……確かにそうだねえ。ひとつ、とってもステキなアイデアがあるんだがな」
その言葉に、足を止めた。
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あさり(プロフ) - 夢小説特有の面白みもありつつ、しっかりと原作沿いにも成っていてこれは良作 (2020年7月16日 15時) (レス) id: 32331818c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月13日 18時