第一話「御仕事」 ページ2
仕事の一環で、とある村へ隠神おじさんと2人で行く事になった。
未成年なのに何故仕事してるのだとか、あまりそういうとこには突っ込まないでほしい。
正直面倒だから断りたかったけど、「暇そうだったから」って理由で連れてかれたんだからおじさんは中々ドSだと思う。こういう時だけなんで私しか家にいなかったんだよ。
「(ああ、体全体に浴びる風が気持ちいい)」
そして何故か。
走るトラックの荷台の上に体育座りでいる私の心情を誰か察してくれ。かなり恥ずかしい。さっき知らん子に指さされてた。死にたい。
確かにトラックは運転席と助手席の二席しかないけどさ。でも真ん中に座る勇気なんてないし、助手席に座っているおじさんの膝の上に座るなんて恥ずかしい真似できないし。まあ荷台で良かったっちゃあ良かった、のか?
おじさんは依頼人である女の人と何かを喋っているが、トラックの振動とそれにより発生するガタガタという音でその声は完全に掻き消されている。正しく無慈悲だ。チクショウ私も混ぜてくれよ、多分黙って何も喋らないけど。
暫くの間流れるように変わりゆく景色を死んだ目で眺めていると、トラックが止まった。
ちょうど田んぼ道のど真ん中である。
驚いた私は荷台から上半身を乗り出し、窓枠に腕を乗せ外を見ていたおじさんに問いかける。
「なんで急に止まったの?」
「ちょっとトラブルが発生したんだよ。暫くこのままな」
「マジで?い、一旦降りよ」
トラックの荷台にボーッと座ってる状況はかなり(精神的に)マズイと思うので、おじさんの手を借りて荷台から降りた。
一面見渡す限り田んぼ一色。田舎だなーと呟くと、隣からそうだなーとやる気のない声が返された。おじさんテンション低いな。
トラックの前には鹿が道路上で堂々と寝そべっている。女の人が言うに鹿はこの村の「特産物」であり敬うべき存在な為、追い越すなんてことはできないらしい。
なるほど、トラブルの原因ってこれか。
「蹴って退かしちゃえば良いじゃん。おら退け鹿ーっつって」
「ダメに決まってんだろうが」
冗談交じりに指をさして言ってみたら、かなり強めのデコピンを食らった。めちゃくそ痛かった。「依頼人の前でそんな事言うな!」って言われたけどおじさんこそ依頼人の前でこんな事するな!
手加減まるでナシの攻撃にひたいを押さえて蹲っていると、おじさんは誰かに向かって声をかけていた。
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あさり(プロフ) - 夢小説特有の面白みもありつつ、しっかりと原作沿いにも成っていてこれは良作 (2020年7月16日 15時) (レス) id: 32331818c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月13日 18時