鬼 の ぜ ん い つ さ ま 。【鬼滅の刃】

鳥の囁き ページ6

.



鬼とのこどもなんて欲しくない。
でもあれは、あの目は。本気だった。

あの鬼は本気で私を、



「………」



外は真っ暗。
人は眠りに就き、鬼は悠々と闊歩する時間。

私なんかが逃げられる訳がない。
逃げるのなら、鬼が活動する事が出来ない時。



日が昇る時間。











「(いつの間にか寝てたと思えばいつの間にか帰ってたらしい金色鬼に抱き締められてた……力強くて抜け出せない)……！」

「起きた？」



身動ぎをした私をそっと抱き締め「まだ寝てて良いよ」と鬼は、私の頭を優しく撫でて。



酷く血の匂いがした



「っひ、」



喉奥まで出かけた言葉が意図も簡単に転がり落ちる



「怖い？」

「っえ」

「Aちゃん。俺が怖い？」



そんな事を至近距離で聞かなくたって



「………」



黙り込む私に、彼はくすくす小さく笑った



「沈黙は肯定と見て取るね」



正直な心に、素直な音。
君のような素敵な音は他に無い。



彼はそう言って、怯え震える私の身体をそっと包み込んだ。



「愚かで憐れな、俺の花嫁」



＿＿＿＿＿こんな俺に愛されて、本当に可哀想な子。

彼は言う。
零した音は、何処か悲しげで。


恐怖に慄き、涙だけがぽろぽろとこぼれ落ちる。
そんな私を、彼はただ黙って抱き締める。



.

哀れ也、憐れ也→←籠の中の鳥は

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す