“呪刀”宿し少女、今日も元気に怨念を祓(ころ)す。【呪術廻戦】

三十七、「こんにちは、さようなら」 ページ41

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「馬鹿野郎、なんで来た」



めぐみんから発せられた掠れた声。
くるりと振り返り、頭から血を流してるものの無事そうだと分かりニッコリ笑う。



「バカヤロウだから、なんにも考えず助けにきちゃった！」



めぐみんが無事でよかった。
心の底から安堵した。



「やはり妙だな。オマエの“中”に、オマエに似た別の気配を感じる」



不可解な奴だ、とリョウメンスクナは顎に手を添え考えている。

不可解でもなんでも、今はどうだっていい。
私もお前に用はない。



久しい感覚に目を閉じる。緩く握った右手を開いた左手に添えて、息を吐く。

ゆっくりと目を開く。ずずず、と左手から現れた【日本刀】。
数年前とは比べ物にならない程悍ましい量の呪力を纏って、顕現された。



これは私の刀。
私の為にあらゆるものを斬り刻む刀。

この刀に斬れないものは無い。
脳に直接埋め込まれたかのように、その事実だけは何時なる刻も忘れられなかった。



「、力が、引き摺り出される……？」

「……この刀、いつでもお腹がすいてるので自動的に吸いこんじゃうんだ」

「敵味方問わず、か」



だからごじょせんは、これの使用範囲をごじょせんの側だけって決めたんだな。
でも今はそんな事言ってる場合じゃない。私と仲間の「生命の危機」なんだから。

勝手に彼らの纏う呪力を喰らっていく刀。やっぱりリョウメンスクナの力は凄まじいのか、これまでに無いくらい満ち溢れていくのがわかる。



「＿＿＿A、今度こそ躊躇うなよ」

「うん」



確か呪霊は私たちみたいに「はんてんじゅつしき」を使わずとも簡単にキズを治すことができるって前にごじょせんに教えてもらった。

ならきっと、リョウメンスクナを半分くらい殺せば、あのキズも治すはず。



「やってみろ、無意味な足掻きとやらを」



やってみるよ、助けるために。


瞬時にリョウメンスクナの間合いに入る。正面突破。
こいつは楽しんでいる。人の生き死に関係なく、自分勝手に命を弄んでいる。

だから接近戦に持ち込んでも術式を発動しようとしない。ホントウにナメくさってる！



下から抉り取るように刃を振るえば軽く避けられ腹に蹴りを入れられる。
咄嗟に脱力して後ろに飛び衝撃を流し、地面に手をつき体勢を整え立ち上がる。その勢いのまま前に踏み出し、低い姿勢を保ったまま薙ぐように斬りつければ今度は刃が抉った感触がした。


奴の手首がぼとりと音を立てて落ちた。
ぼとぼとと赤が流れ落ちる。



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