三十四、「黒の世界」 ページ38
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掴み合いを始めた2人にのばらちゃんが「いい加減にしろ!!」とずかずか近づいて行く。
気づいた私が咄嗟に手を伸ばすが、
それより早く、私の手が黒の何かに絡めとられた。
「っとっきゅう!!近くにいるーーー!!!!」
とんでもない力に掴まって地面から引っ張られながら、全力で対抗して叫んだ瞬間こっちを見て目を見開いた3人、イヌはいつの間にか姿を消した。横を見れば遠くに、赤色。
その中でのばらちゃんが同じように地面に
それを見た私は抵抗を「やめた」。
とぷん、と。水面に落ちた石ころのように、私は黒の地面の中に落っこちた。
……
…
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目の前に広がったのは途方も無い闇。
その中でこちらを見つめるたくさんの呪霊。
よいしょと立ち上がって、一緒に落っこちた木刀を手にとった。
けたけた笑いはじめた呪霊たちは、みんなそろって変な姿をしている。
「へんなの」
とりあえず一緒に落ちたのばらちゃん探さないと。
勢いよく突っ込んできた呪霊を避けて横から木刀でぶん殴る。風船が針をさされて弾け飛ぶように、呪霊は「パン!」とはち切れて飛び散った。
急がなきゃだから、たくさん呪力をこめないと。
「みんな大丈夫かな」
それは私にとっては何度もやってきたことで、体がもう覚えてしまったように勝手に動いた。
近づいてきたそれを斬り捨てる。遠くから呪力を込めたなにかをぶん投げてきたらそれも斬り捨て、足に力を込めて一気に群がる呪霊を斬り刻む。
知っていた。自分がこの場で、一体何をすればいいのかはわかっていた。わからなきゃ死ぬだけだから、慣れざるを得なかった話。
ここは私1人で、私以外誰もいなくて、私だけが私の味方で。
「あ、ちがう。“これ”も味方だ」
下を見て、胸あたりをとん、と叩けばなにかが応えるように胸に響く鼓動を感じた。
私、一人じゃないね。
だってあなたがいるから。
あらかた片づけたところで、大きく息を吐いた。
もう気配はない。死ななかったのは私一人だけ。
のばらちゃんのところに行かなきゃ。
一歩ふみ出そうとしたら、何かを感じて足を止めた。
「あ、いた」
無音が木霊する暗闇に向かって、思い切りぶん!と呪力をこめた木刀を投げる。
闇の中でなにかが膨張し、やがて限界を超えはち切れた音がしたと思えば、大きな呪霊に足をつかまれ宙ぶらりんになったのばらちゃんの姿が見えた。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2021年1月4日 16時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - 葵羽〜best friend group〜さん» 葵羽様、コメントありがとうございます!完全に私の趣味ですがお付き合い頂けると幸いです笑 そしてこの作品含め他の作品にもたくさんコメントして頂いて本当にありがとうございます!とても励みになります。これからも頑張りますのでどうぞよろしくお願い致します! (2020年10月19日 23時) (レス) id: d2028c3fb2 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 夢主ちゃんがすごく可愛い…相変わらずぱんこさんの作品、面白すぎます!何度読んでも飽きません!更新頑張ってください!応援しておりますっ! (2020年10月19日 22時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - みわさん» 完全に自己満な上幼女(?)みたいな夢主ですが、そう言って頂けて嬉しいです。励みになるコメントありがとうございます!これからも頑張ります。 (2020年10月18日 22時) (レス) id: d2028c3fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - 緑緑さん» 完全に私の趣味です(笑)幼女を求めて作ってたら幼女擬きが出来上がってぽかんとしました。これからも頑張ります! (2020年10月18日 22時) (レス) id: d2028c3fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年10月18日 19時