“呪刀”宿し少女、今日も元気に怨念を祓(ころ)す。【呪術廻戦】

十九、「反転術式」 ページ23

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その時、どしゃっとなにかが崩れた音がした。

大きく目を開いた。崩れたの、私だ。



「おい、A？大丈夫か」

「………めぐみんの血、私にもながれてきた」

「変な事言うな。何処をどう見てもお前の血だ」

「ううう、ううぅぐ」



どんどん頭からこぼれる赤色を無視して、足に力を入れて立ち上がろうとふんばる。
そんな私を見て「ハハハ、リアル生まれたての仔鹿」と笑ってるごじょせん。今だけちょっとキライ。

木刀をどすっと地面に突き刺して立ち上がる。なんとかコジカからニンゲンに進化した。
腰を曲げて、今でもぷるぷる震える足をそのままに踏ん張る。



「この前こんな感じのおばあちゃん見たなぁ」



おばあちゃんって。

私、たしか15……だっけ？そのくらいだったのにひどい。


そんなこと考えてたらまたぐしゃっと倒れた。木刀がその辺に転がって、ひとりでずずず、と私の方へ向かってくる。

ごじょせんはゆっくり近付いてきて、寝転がってる私のそばでしゃがんだ。



「その傷、自力で治してみな。小さい範囲だったら難無く出来たんだろ？」



ちょん、とさっき治した頰のキズに触れたごじょせん。

ちいさいの、ほっぺの傷？腕でごしごししたらなおったよ。でも、それは私が「なおってほしい」って願ったからだよ。


近づいてきてた木刀をぎゅっと握って、目をぎゅっと閉ざす。



「これ、前に教えたよね。何て名称？」

「はんぺんしゅつげきぃぃ……！！」

「違うけどちょっと面白いなそれ」



なんか言われながらも「なおれなおれなおれ……」と、ちょっとずつぼんやりしてきた目のまま呟いていたらなんだか温かい感じがしてきた。



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