玉狛の眠り姫3 (ページ44)

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第144話ページ44

個人ランク戦で無双をしている隊員がいると聞きつけた太刀川は、嬉々として戦いに出掛けた

ランク戦ロビーには、既に多くの観客が集まっていた

太「米屋」

太刀川は、モニターを見ていた知り合いを見つけて声をかけた

米「太刀川さんじゃん。戦いに来たんすか？」

太「強いやついるって聞いたからな」

米「あ〜……
そ、すね」

太刀川は瞳を輝かせながら答えたが、米屋はどこか気まずそうだ

太刀川は不思議に思いながらモニターを見た

太「なるほどな」

モニターで戦っていたのは、恐らくB級隊員である射手と、弧月を振るうAだった

攻撃距離が広く有利を取っていた射手だが、Aが隙をつき間合いを縮めると、ものの数秒で緊急脱出に追い込まれた

太「Aが弧月ねぇ」

太刀川は顎髭を触りながら笑う

Aは狙撃手や射手を得意としているが、一応弧月も扱うことができる

ただ、近接戦闘は苦手としているため、中距離から長距離での戦闘スタイルを主としている

そんなAが、わざわざ目立つ場所で苦手なものを振りかぶっているのは珍しかった

太刀川は、妹弟子の戦いを指導するような面持ちで見ていた

太「これ、どんくらいやってんだ？」

米「おれも最初からいたわけじゃないんで分からないっすけど、俺が来てから30分以上は経ってますね」

太「ふーん。じゃ、終わらせてくるか」

太刀川は楽しそうにブースに入っていった