玉狛の眠り姫3 (ページ33)

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第133話ページ33

貴「けんくん」

佐「準備できた？」

貴「レイジさんが荷物を運んでくれたから大丈夫」

検査の結果何も問題が無かったため、Aはすぐに退院できることとなった

荷物という荷物はお見舞いの品くらいだったので、木崎が車を出して運ぶことになったのだ

荷物を運び終えた木崎は神妙な面持ちで佐鳥の前に立った

レ「佐鳥、頼んだぞ」

佐「もちろんです」

レ「A。終わったら、泊まるか戻るか連絡しろ。必ずだ」

貴「うん」

Aの返事を聞くと満足したのか、木崎は頷き駐車場へと向かっていった

佐「じゃあ、オレたちも行こうか」

佐鳥はさり気なくAの手を掴み、ゆっくりとした足取りで歩き出した

佐鳥は隣で歩いているAを盗み見る

多少痩せてしまってはいるが、顔色も悪くないし息も上がっていない

佐(今のところは、問題ないか)

本当はAを車で玉狛基地に戻らせ、安静にさせたかったのだが、退院を聞きつけた上層部がAを呼び出したのだ

忍田も林藤も良しとはしなかったのだが、城戸が強行した結果だった

Aに拒否権はあったのだが、呼び出された事情を分かっている上、説明をすると言ったので後回しにするの憚られた

多少距離がある本部まで佐鳥と歩いているのは、Aが体調も悪くないし、動いてなかったから歩いていきたいと迎えに来た木崎に頼んだため、誰か一緒に居ることを条件に許されたからだ

貴「なんか、デートみたいだね」

繋がれている手を見ながらAが言った

佐「じゃあ今度、本当にデートしようか」

貴「いいの!?」

佐「いいよ」

嬉しそうなAを見て、佐鳥はAが笑っているならそれでいい、と手を軽く握り直した