玉狛の眠り姫3 (ページ27)

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第127話ページ27

Aは、これが夢だと気付いた

いや、今までの方が夢だったのかもしれない

そう思いたかった

今だけは、そう信じたかった

だって、会いたくても会えなかった人が、目の前にいる

別れてから、片時も忘れたことの無いひとたち

貴「……おとうさん」

Aは恐る恐る、口にした

違う、なんて言われたらどうにかなりそうだった

父「どうした？」

Aの呟きに、否定は入らなかった

小湊風翔(ふうと)がニカッと笑った

貴「おかあさん」

母「なぁに？」

小湊桜花(おうか)が優しく微笑む

貴「ッ、……ﾋｯｸ」

Aは両親の元へと駆け寄る

いつも、2人の面影を探していた

もう、見つからないと思っていた

でも今は、
今は目の前にいる
感じる

懐かしい、両親の気配

桜「もう、可愛い顔が台無しよ」

いるはずの無い母親は、屈んでAの瞳を拭った

風「大きくなったなぁ」

いなくなった父親は、頭をガシガシと撫で回す

貴「やだぁ……私も一緒にいくぅぅぅう」

Aは、これまで我慢してきた感情を抑えきれなかった

自分の心を押し殺して、
しょうがないと笑って、
両親は立派だと胸を張って、

周りに心配させないように、

必死に

必死に

必死に

必死に

振舞ってきた4年間は

もう要らないんだと

子供のように泣きじゃくった