９３Fside ページ6
M『たまが最近徐々に明るくなってます。
今のうちに頑張って仕掛けるから、そっちもアタックしてください！』
仕事終わり。
そんな内容のメッセージが届いており、ため息をつく。
全く…こっちの状況も知らずに、陽気なこと言いやがって。
それにしても、こいつのたまさんの現状は本当の話なのだろうか。
「ただいま〜」
今日は訳があって、俺だけ休日出勤していた。
「あーあ。そんなところで寝て…」
ソファでうつ伏せになっている北山が目に入って、トントンと肩を揺らす。
「…きたやま？」
反応がなくて、ごろっと体を上に向けると虚な目の北山が、ギュッと俺の服の裾を握った。
その手はカタカタと震えている。
「どうした？」
K「ごめん、ごめんなさい…」
震える手で台所の方を指差すので、そちらを見ると
ビールの空き缶が何本か置かれていた。
「病院行こう」
北山を抱え上げようと、体勢をなおすと
机の上にも目がいく。
薬が異常なほど量が減っている。
俺に掴まって立とうとした北山が、地に足をついたその瞬間にふらつく。
そこを支えてそのまま抱え上げた。
病院に着くと北山はすぐ診療室へと連れて行かれ、俺は待合室に腰掛けた。
そして、宮田さんからのメッセージを開く。
『やっぱり協力できません』
そう返信した。
俺の幸せは、願いは。
北山を苦しませてまで、こんな姿を目にしてまで
手に入れることなのだろうか。
手に入れればなんだって良い。
そう思っていたのに。
いつしか、君を好きで好きで仕方ないからこそ
俺が守りたいのに、守るのは俺じゃないんだと気がつくようになった。
俺の幸せも、北山の幸せも
ここでは叶わないんじゃないだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 431人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「病系」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻弓 想(プロフ) - わたたいさん» コメント、応援ありがとうございます😊🎵 (2022年8月3日 21時) (
レス) id: 463202596f (このIDを非表示/違反報告)
わたたい(プロフ) - 続き楽しみです!更新楽しみに待ってます！ (2022年8月3日 1時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» 応援ありがとうございます☺️ (2022年7月25日 1時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
20090301sora(プロフ) - 櫻弓 想さん» ありがとうございます！お話楽しみにしています！ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 3ab1df2fa5 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» コメントありがとうございます。新しいお話を非公開状態で、保存だけしているのですが、お話を開いたときの最新更新時間はその保存した時の時間で出るみたいです💦公開ありでの最終更新時間は、私の作品一覧から見られます🙇🏻♀️ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2022年6月8日 21時
