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「ん…」


カーテンの隙間から差す薄い朝日に

開いた目をまたすぐ薄めた。


昨夜は、久しぶりに体を重ねて。

俺、すぐ疲れちゃって…


乱れた息を、たまが落ち着かせてくれた後

そのまま眠くなって寝ちゃったはずなんだけど。


ちゃんと浴衣を着てる感触を微睡で感じる。
汗もかいたはずだが、不快感もない。


全部たまが世話してくれたんだな…。


それは別に、今日の話だけではなく

俺はまだ、誰かの手がないときっと生きられない。

ずっと誰かにそばにいてもらって支えられないと
情けないけど崩れてしまうだろう。


いや…誰か、ではなく。


横で俺の方を向いて眠るたまの頬に、思わず手を伸ばす。

白いなあ、と思いながら親指で撫でているうちに
無意識に近づいて、唇を重ねた。

…その瞬間。


「わ、わ…っ」


急にたまの腕が、体の後ろまで回ってきて引き寄せられた


T「なにかわいーことしてんの」


そう言われながら、髪を優しく撫でられてまた眠くなる。

しばらくすると、その手がぴたりと止まって
寝たのかなぁ…なんて俺もフワフワとした頭で考えていると


止まった手が、たまの胸辺りにある俺の顔に伸びてきて。

綺麗な指が顎に当てられ、くいっと顔が上がる。


T「みつ顎ちっさいなあ」


ふにっと優しく額に唇が当たると

下に下がってきて、唇にも当たった。


甘くて、甘くて

この甘さでなら、溶けて消えちゃってもいいなんて思えた。


「おれ、このまましんでもいい」

T「ばか、結婚したばっかなのに〜」

「うそ。それくらい幸せって…言いたいだけ」

恥ずかしくて。
ちょっと寝惚けてるようなフリをしながら言った。

T「じゃあ俺も死んでいい」


ばか、だめだよ、なんて言って笑い合う。


T「今度の休日はスーツ買いに行こう」

「?なんで。充分あるぞ」

T「藤ヶ谷さんに買ってもらったやつばっか着てるもん」


あぁ…


自宅に置いたままだったスーツは、痩せて合わなくなっちゃって。

藤ヶ谷の家にいる間に、買ってきてくれたスーツを今もそのまま着ていた。


たまにそのスーツどうしたのって聞かれた時、正直に説明すると、ふーんって言われただけだったのに。


気にしていた、なんて。


T「着てるの見る度に嫉妬するから
俺もミツにスーツ買いたい」

「いいのに…」

T「俺がやだ!」


確かに俺たちは
言葉にしよう、伝え合おうって、約束しあった。


…でも時折、あまりにもストレートすぎて

さすがに恥ずかしい。

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櫻弓 想(プロフ) - わたたいさん» コメント、応援ありがとうございます😊🎵 (2022年8月3日 21時) (レス) id: 463202596f (このIDを非表示/違反報告)
わたたい(プロフ) - 続き楽しみです!更新楽しみに待ってます! (2022年8月3日 1時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» 応援ありがとうございます☺️ (2022年7月25日 1時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
20090301sora(プロフ) - 櫻弓 想さん» ありがとうございます!お話楽しみにしています! (2022年7月25日 0時) (レス) id: 3ab1df2fa5 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» コメントありがとうございます。新しいお話を非公開状態で、保存だけしているのですが、お話を開いたときの最新更新時間はその保存した時の時間で出るみたいです💦公開ありでの最終更新時間は、私の作品一覧から見られます🙇🏻‍♀️ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2022年6月8日 21時

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