１１２Tside ページ25
藤ヶ谷さんから、帰り際に
ミツは今いくつか薬を飲んでいるからと、リビングの机に置かれた袋を指さされた。
藤ヶ谷さんとニカが帰ったのち
袋から薬を出し、頭痛薬とか喘息関係の薬以外の
分からない名前の薬を調べた。
全部、精神的なものだった。
正直、ここまで追い詰められていたなんて思ってもいなくて。
俺なんかが支えられるのか、今になって少し不安になる。
でも…
藤ヶ谷さんの言葉や、ミツを久々に抱きしめた温もりを思い出し、俺が落ち込んでちゃダメだと自分へ喝を入れる。
さっきは、抱きしめた後そのまますぐにヘタリと寝てしまい、今もベッドでぐっすりだが。
ご飯は何か食べさせないと、と立ち上がる。
「あーでもなあ、家は空けたくないし…」
…もちろん食材も、何もないし。
何か出前で食べやすいものはないだろうかと、スマホを触っていた時。
小さくだが、こほこほとミツの咳が聞こえた。
大丈夫かな、と少し顔を覗くがまだ眠っているようで離れると、また定期的に聞こえる。
K「けほ…っ、けほっけほっ」
止まらない様子に、また顔を覗き込むと
今度はぱちっと目があった。
「大丈夫…？苦しい？」
そう言って背中をさすると、ミツはじわりと涙を浮かべた。
K「げほっ！たま、たまぁ、」
「ん…？起きる？」
俺の服をギュッと掴むから、起き上がらせると
またさっきのように抱きつかれた。
K「けほっ、夢じゃ、けほっけほっ！…なかった」
「うん。夢じゃないよ」
そう言うと、抱きつく力を強めるから
苦しくならない？と問いかける。
ミツは苦しそうな咳を繰り返しながら、首を振って
力を弱めることはしなかった。
K「げほっ、はぁっけほっけほっ！！ひゅっ…」
「みつ、ごめんね」
しばらくは抱きつかれたまま背中を撫でていたけど
息遣いも怪しくなってきて、そっと腕を離させる。
苦しそうに真っ赤な顔をして涙を滲ませるミツを
ベッドに座らせて、吸入器を渡すと
いつものことかのように使い出した。
K「も、へいき」
「いつから…？ずっと発作続いてるの？」
K「ん…でも大丈夫」
隣に座って、頭を寄せると素直にもたれてくれた。
「ごめんね、みつ」
K「おれも、ごめん」
ミツが顔を上げて俺の方を見ると
手を伸ばし、すりすりと頬を触られる。
もう片手はぎゅっと手を握られた。
K「たま…」
ミツがそう言って弱く微笑むと、そっと顔を寄せてきて
俺らはそのまま唇を重ねた。
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櫻弓 想(プロフ) - わたたいさん» コメント、応援ありがとうございます😊🎵 (2022年8月3日 21時) (
レス) id: 463202596f (このIDを非表示/違反報告)
わたたい(プロフ) - 続き楽しみです!更新楽しみに待ってます！ (2022年8月3日 1時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» 応援ありがとうございます☺️ (2022年7月25日 1時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
20090301sora(プロフ) - 櫻弓 想さん» ありがとうございます！お話楽しみにしています！ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 3ab1df2fa5 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» コメントありがとうございます。新しいお話を非公開状態で、保存だけしているのですが、お話を開いたときの最新更新時間はその保存した時の時間で出るみたいです💦公開ありでの最終更新時間は、私の作品一覧から見られます🙇🏻♀️ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2022年6月8日 21時
