１０５Fside ページ18
なにも考えず、勤務中に会社を飛び出した。
俺はもう、君に盲目だった。
手に入れられなくてもいい、でも君を守りたかった。
北山の住むマンションへと行き、インターホンに出ることは諦めていたため、不審者のようだが違う住人がオートロックを開けたと同時にくぐった。
家の前に着き、インターホンを押す。それにも返事はない。
「……うそ」
一応ドアノブを捻ねってみると、ドアが開いたのだ。
体が一瞬止まったが、本当にほんの一瞬で。
「北山！！！」
すぐに家の中へと飛び込んだ。
「北山！北山！！」
2人で住むには少し狭そうな家だった。しかし、姿は見つからない。
焦りも、乱れた気持ちも整えてから、部屋を冷静に見渡すと
おかしなほどに散らかっていた。
掃除していないとか、整頓していないとかじゃない。
まるで、北山の心を表したような部屋だった。
姿がないならと玄関に置きっぱなしだった鍵を持ち、代わりに戸締りをして部屋を出る。
もしかしたら…なんて期待して、あの場所へと足を向けた。
汗だくになりながらスーツで走ってたどり着く。
「きた、やま…」
この場で姿を見つけたことと、前のように道でうずくまっていないことに安心した。
「北山！北山！！！」
俺が会っては意味がない。
そう思っていたのに会ってしまった。
でも、この場を選んでここにいたのは君だから。
K「…なんで」
「ここにいるからでしょ」
K「ごめん…藤ヶ谷、俺会社行こうとしてたはずなんだけど…」
「うん、大丈夫大丈夫」
ギュッと抱きしめて、背中をさする。
君が俺のことを好きでここにいたわけじゃなくてもいい。
俺が少しでも君の心の拠り所になれるならそれでいい。
無意識にここに来ちゃうくらいには、俺は君を支えられる自信があるから。
たとえ、苦しくても。
「二階堂…？ごめん、北山いたから。たまさん探せないかな」
北山を抱きしめながら、千賀と一緒に探しているとメールをくれていた二階堂に電話をした。
そんな様子を、遠くからたまさんが見ていたなんて…思いもせず。
「家、帰る？」
K「…ちょっと疲れた、かも」
「顔、赤いね。水飲まないと」
近くの自販機で水を2本買って、一本を飲ませるように渡して、もう一本で北山の首筋を冷やした。
「気分悪くない？発作は大丈夫？」
K「うん…もう歩ける」
「じゃあ家帰ろう」
K「…どっちの？」
「北山のだよ。たまさん、帰ってくるの待たないとね」
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櫻弓 想(プロフ) - わたたいさん» コメント、応援ありがとうございます😊🎵 (2022年8月3日 21時) (
レス) id: 463202596f (このIDを非表示/違反報告)
わたたい(プロフ) - 続き楽しみです!更新楽しみに待ってます！ (2022年8月3日 1時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» 応援ありがとうございます☺️ (2022年7月25日 1時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
20090301sora(プロフ) - 櫻弓 想さん» ありがとうございます！お話楽しみにしています！ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 3ab1df2fa5 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - 20090301soraさん» コメントありがとうございます。新しいお話を非公開状態で、保存だけしているのですが、お話を開いたときの最新更新時間はその保存した時の時間で出るみたいです💦公開ありでの最終更新時間は、私の作品一覧から見られます🙇🏻♀️ (2022年7月25日 0時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2022年6月8日 21時
