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恥ずかしくなって、握られている手をパッと外し

ベットの横に座って、俺の体に上半身を倒して眠る藤ヶ谷さんを起こした。


F「…北山さん!」

「ごめん、藤ヶ谷さん…」

F「はー起きた。安心した〜」

「どういうことだよ(笑)俺死なねえよ?」


胸を撫で下ろす藤ヶ谷さんに、思わず笑みが溢れた。


だいぶ前に言われた「北山さんの辛さ取れる自信がある」という言葉は、あながち本当なんだと思う。

実際、最近昼休みや休日、仕事終わりをよく過ごすようになって

その時間だけは辛さを忘られている気がする。


F「すごい苦しそうだったから…怖かったー。それに喘息持ちとか知らないし」

「あぁ、悪かった」

F「歓迎会の時も…お酒ダメだったよね」

「いいって、気にすんな…。え?!ってか!!今何時?!」


起きてそんなことに意識が回らなかったが、窓の外がかなり明るい。

今日は普通に平日だ。俺はもちろん藤ヶ谷さんだって仕事。


え、というか…


「藤ヶ谷さん、スーツ…?」

F「あぁ。北山さんを救急車に乗せたあと、俺は家に帰ってスーツ取って自分の足で病院来たの」

「は?!なんでそんなこと」

F「え?心配だったからそりゃ一緒に乗って行きたかったけど…
明日仕事だなーって思うと、スーツ着てここいるのが一番いいかなって。そのまま会社行けるでしょ」

「ばか…しんどいだろそんなことしたら。休めよ…」


スマホを開くともう午前6時。

たまからの不在着信でいっぱいだ。


F「そんなことより、あそこで何してたの」

「………それは、藤ヶ谷さんこそ」

F「寝つき悪い時よく散歩するの」

「そう、か」

F「で?北山さんは」

「…一緒だよ」


看護師さんを呼び、俺も帰る準備をする。

少し遅れてしまうかもしれないが、仕事に行かないと。


F「ねぇ休みなよ今日は」

「平気だっての」

F「自分が思ってるほど平気じゃないよ?!」


ガッと腕を掴まれて、思わず動きが止まる。

見つめられる視線で、どれほど心配をかけているかは痛いほどわかった。


F「たまさんと…何かあったんでしょ」

「…まあ」

F「それで何であの場所にいたの」

「さぁ、テキトーに歩いてただけだから」

F「距離置いてても…うまくいかない?まだ辛いの?」

「…平気。それに、最近は藤ヶ谷さんといる時ちゃんと楽しいよ」


腕を払って笑いかけて、話を終わらそうとしたのに

ギュッと今度は両手を包まれた。


F「じゃあ、俺のとこ来たらいいじゃん」


「………は、?」

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櫻弓 想(プロフ) - mi-chanさん» コメントありがとうございます!玉北にうまくいってほしい人と、藤北を応援する人で別れるところですね🤣ニカちゃんは、ガヤさんのことを怖いと思っていたばかりに優しくされて落ちちゃったようです(笑)メランコリーはガヤさんが一番罪な男です😅 (2022年5月18日 9時) (レス) @page39 id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - いい感じに面白くなってきました!このままお互いくっついちゃえばいいのにって思っちゃいました(笑)でもニカちゃんが意外…続きが気になります! (2022年5月18日 2時) (レス) @page37 id: fa52f3ba38 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - nanacoさん» nanacoさん!コメントありがとうございます。藤ヶ谷さんにはどんどん暴れていただいて、読者様に一体どっちを応援したらいいのかわからなくなってもらうのが筆者の狙いでございます(笑) (2022年4月5日 22時) (レス) @page1 id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 急展開!玉ちゃん急に冷たくなっちゃってどうしたんだろう…でも今こそ藤ヶ谷さんの付け入る隙ですよね…( ;꒳​; ) どちらを応援したら良いのかここまで分からないまま読むのは初めてです😂優しくなった藤ヶ谷さんに気持ち寄ってます🥲 (2022年4月5日 7時) (レス) @page6 id: 4381ad5f86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2022年4月5日 2時

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