７９ ページ30
「はぁ…っ、げほっ！な、んで…」
苦しくて、コンクリートに膝をつき必死で酸素を吸っているところ、声をかけてきたのは…
F「苦しいの…？！何か薬は！」
藤ヶ谷さんだった。
「けほっけほっ！ひゅ…っ、げほっ！」
喘息持ちだということは、二階堂がチクッていない限り藤ヶ谷さんは知らないはずだが、さすがに俺の様子を見て変だと察したんだろう。
薬と言われて、ハッとしてポケットに手を突っ込んだが
生憎、飛び出してきたためそんなものはない。
酸欠でくらっとして上半身が傾くと、藤ヶ谷さんが受け止めた。
藤ヶ谷さんの腕の中、ボヤッとしているがどこかへ電話をかける姿が見える。
なんか…いつもピンチの時傍にいるよなと。
この景色を見て過去のことを思い出す。
どれもつい最近のことなのに、どっと詰まっている。それほど迷惑を短期間でかけてるってことだけど。
F「北山さん！喘息持ってる？」
電話口で何を喋っていたかわからないが、顔を近づけられて大きな声でそう聞かれ、コクコクと必死に頷く。
しばらくして電話を切ると、すぐ救急車来るからねと言われた。
バカだなあ、俺。
なんで薬持ってなかったのか聞かれて、なんて答えんだよ。
それに何年も発作なんて出ていなかったのに、こんな時に。
F「しっかりして！北山さん！！」
「はぁ…っ、げほっ！」
息も、心も、もう何もかも苦しくて
いっぱいいっぱいで。
ギュッと藤ヶ谷さんの服を掴む。
そしたら藤ヶ谷さんは、その手を上から握ってくれた。
・
「あ、え…」
あのあと意識を失ったらしい俺は
目を覚ますと、景色は変わっていたが
「藤ヶ谷さん…？」
手は握られたままだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 383人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻弓 想(プロフ) - mi-chanさん» コメントありがとうございます！玉北にうまくいってほしい人と、藤北を応援する人で別れるところですね🤣ニカちゃんは、ガヤさんのことを怖いと思っていたばかりに優しくされて落ちちゃったようです（笑）メランコリーはガヤさんが一番罪な男です😅 (2022年5月18日 9時) (
レス) @page39 id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - いい感じに面白くなってきました！このままお互いくっついちゃえばいいのにって思っちゃいました（笑）でもニカちゃんが意外…続きが気になります！ (2022年5月18日 2時) (レス) @page37 id: fa52f3ba38 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - nanacoさん» nanacoさん！コメントありがとうございます。藤ヶ谷さんにはどんどん暴れていただいて、読者様に一体どっちを応援したらいいのかわからなくなってもらうのが筆者の狙いでございます（笑） (2022年4月5日 22時) (レス) @page1 id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 急展開！玉ちゃん急に冷たくなっちゃってどうしたんだろう…でも今こそ藤ヶ谷さんの付け入る隙ですよね…( ；꒳； ) どちらを応援したら良いのかここまで分からないまま読むのは初めてです😂優しくなった藤ヶ谷さんに気持ち寄ってます🥲 (2022年4月5日 7時) (レス) @page6 id: 4381ad5f86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2022年4月5日 2時
