７５ ページ26
早まる鼓動を抑えてから仕事に戻り、一頻り終わったところで伸びをした。
「はぁ…」
仕事の隙間隙間に癖のように動画サイトを開く。
…また顔出しで動画が上がっている。
最近は着々と頻度も上がっているし、視聴数も上がっているし。
そうだよな。そうなるよな。
俺が一番分かってるよ、たまがかっこいいことなんて。
俺が、俺だけが。分かっていればいいのに。
2「また見てる」
「う、わ！なんだよ。他人の携帯覗くなよ！」
2「覗いたんじゃなくて、見えたんですー
たま一気に人気なりましたね」
「そうだな」
…二階堂は、前にふと変なことを言ってきたし。俺に余裕がないとか…図星なこと。
この話は続けたくない。というか、今はできるだけたまの話はこいつとしたくないのだ。
「…あのさ、今度俺が藤ヶ谷さんとご飯行く時、二階堂も誘ってやろうか？」
2「…へ？なんで」
「あーえっと、藤ヶ谷さんに聞いた。わざわざ誘ってくれたって」
まさか、断られていたのを盗み聞きしていたとは言えないし。
その盗み聞きがバレて、藤ヶ谷さんにあんなことやこんなこと…言われたり、されたり…。
あーだめだめ。思い出すな…。
2「いや！いいです。お気遣いありがとうございます！」
「あ、そ…？」
なんだ。意外とさっぱりしてんな…。
2「…あの、北山さんって、どうして気に入られたんですか？」
「気に入られた…って？」
2「藤ヶ谷さんに」
「…年近くて話が合っただけだろ」
2「にしては…藤ヶ谷さん、やたら北山さんに対して
んーなんだろ、一生懸命というか…」
「友達大事にするタイプなんじゃない。
まあ実質的には俺らは友達ではねえけど、プライベートも絡んでたら、友達に近しいだろ」
ふぅん。と言って二階堂は帰る支度をし始めた。
なんだよ、聞いてきたくせに。
それに、さっきは俺に抱きついて離れなかったくせに、急にさっぱりだな。
2「じゃあお疲れ様です。北山さんもたまには早く帰ってくださいね」
「はいはい。お疲れ」
帰りたくないな、なんて思いはまた日々積もっていた。
もし、早めに家に帰ってたまが居なかったら。
居たとしても、編集に必死で相手されなかったら…。
T『ミツー！おかえりー！』
玄関を開けると、そう叫ばれて抱きしめられること。
そして、帰ればたまが家にいること。
それが普通じゃないことだって、幸せなことなんだって。
今更噛み締めて、また俺は家に帰る時間を遅らせる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 383人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻弓 想(プロフ) - mi-chanさん» コメントありがとうございます！玉北にうまくいってほしい人と、藤北を応援する人で別れるところですね🤣ニカちゃんは、ガヤさんのことを怖いと思っていたばかりに優しくされて落ちちゃったようです（笑）メランコリーはガヤさんが一番罪な男です😅 (2022年5月18日 9時) (
レス) @page39 id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - いい感じに面白くなってきました！このままお互いくっついちゃえばいいのにって思っちゃいました（笑）でもニカちゃんが意外…続きが気になります！ (2022年5月18日 2時) (レス) @page37 id: fa52f3ba38 (このIDを非表示/違反報告)
櫻弓 想(プロフ) - nanacoさん» nanacoさん！コメントありがとうございます。藤ヶ谷さんにはどんどん暴れていただいて、読者様に一体どっちを応援したらいいのかわからなくなってもらうのが筆者の狙いでございます（笑） (2022年4月5日 22時) (レス) @page1 id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 急展開！玉ちゃん急に冷たくなっちゃってどうしたんだろう…でも今こそ藤ヶ谷さんの付け入る隙ですよね…( ；꒳； ) どちらを応援したら良いのかここまで分からないまま読むのは初めてです😂優しくなった藤ヶ谷さんに気持ち寄ってます🥲 (2022年4月5日 7時) (レス) @page6 id: 4381ad5f86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2022年4月5日 2時
