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ニカから『ミツ先輩全然食ってないから何か食べさせるようにして』とメールが来た。
だいぶ前、ミツが怪しかったらチクってねと言ったから
ニカなりに何か察して言ってくれたんだろう。
俺はすぐに買い物に出て、食材を集めれば、食欲がなくても食べられそうで栄養が取れそうなスープを作った。
ミツはスープを美味しいと食べてくれたけど、ニカから連絡をもらってたからというのもあるのか、なんだか様子が変。
まあ…昨日泣いてたしな、と思って軽い気持ちでミツに何かあったか聞いたものの。全く気持ちが読めなかった。
よっぽど疲れてんだろうと思って、抱きしめてとにかくキスをした。こうして安心感を与えることって、恋人にしかできないことだから。
K「たま…っ」
「ミツ?大丈夫だよ。俺ミツが好きだよ」
ニートの俺が、仕事のことを励ましたって意味がない。できることは、恋人として味方でいてあげること。そばにいてあげること。癒してあげることだ。
だから、そこから必死に追いかけてくるようなキスに、俺はただ受け身の体制をとった。
ミツがこれで落ち着くなら、止まるまで…と思って。
「…っ、みつ」
しかし俺は、まだ追いかけてきていたミツの唇を途中で離した。
なぜなら、ミツの頬にキラッと光が流れたのが
うっすら開けていた視界になんとなく写ったからだ。
離れた瞬間にミツは手の甲で涙を拭ったけれど、拭っても拭っても新しく流れてくる。
K「…俺どーしたんだか(笑)
ほんと悪い…たまの顔見てたら、止まんねぇ…へへっ」
「ミツがそれで落ち着くなら、いっぱい泣いていいよ。
それでも苦しいなら…仕事の不満とかも言っていいんだよ。
聞いてあげることくらいはできるから」
そう言うと、もっと目に水分を増やしたミツが壊れたように泣き出した。
元々泣いたところもそんな見たことなかったんだから、号泣なんてもちろん初めて見て…さすがに焦ったけれど、とにかく抱きしめて背中を撫で続けた。
K「…うぅ、ふっ…はぁっ、はっ、げほっ!」
「ミツ?ちょっと落ち着いて。深呼吸して」
嗚咽が酷くなってくると、次第に腕の中で呼吸を苦しそうにしだしたから、好きなだけ泣かしてあげようと抱きしめていたけど落ち着くように声をかけた。
K「はぁっ、ふぅ…」
「うん。上手。大丈夫だから、落ち着いて。
苦しくならないように泣いて」
決して泣くのを止めたわけではないことが分かるようにそう言って、ミツが落ち着くまで抱きしめ続けた。
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櫻弓 想(プロフ) - のこさん» はじめまして!コメント気づくの遅くてすみません🥲どきどき読んでいただきありがとうございます!!ご期待に添えるような作品になるよう頑張ります! (2022年5月15日 20時) (レス) id: 03403d3789 (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - もしかしてはじめましてかも。いつも楽しみにしています。次の展開にドキドキしてますが北山担としては北山くんが愛されてるのが嬉しいです。みんな幸せになりますように (2022年4月2日 7時) (レス) @page50 id: c027cef8fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2022年3月12日 21時