チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ49)

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蓮side

岩『ふっかも、早く素直になればよかったのにな』

そう呟く岩本くんに、Aの想う相手は、ふっかさんじゃないということが分かる

きっと岩本くんでもないし、もちろん俺でもない

蓮『やっぱり、Aはもう...』

ふっかさんのことは好きじゃない。

そう言葉にするのは、やめた

岩『だから、今度こそ、Aには幸せになって欲しいんだよ』

岩本くんの悲痛な思いが、俺の心に響く

"今度こそ"

その言葉がやけに脳にこびりつく

母親の死も、俺の父親からの暴力も、ふっかさんへの長年の片想いも、入院するまで追い詰められたあの出来事も。

決して、幸せとは呼べる人生ではなかったと思う

そして今、俺の存在がAを苦しめている

岩本くんは、その"今度こそ"の幸せを与える人物が自分ではないことを分かっているんだろう

蓮『岩本くんは、自分の手で幸せにしたいとは、思わないんですか？』

岩『Aの幸せの相手は俺じゃないって、自分が一番わかってっから』

苦しくなった

まるで俺自身にも言われているようで。

それはきっと、Aを幸せにする相手が俺じゃないと、心のどこかで分かっているから

岩『お前は、どうしたい？』

真っ直ぐすぎるその目

Aを大事に想うその気持ちがが、十分すぎるくらい伝わってくる目

俺は一体、どうしたいんだろう＿＿＿＿