チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ40)

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隣でハンドルを片手に持ちながら、スムーズに運転する翔太

運転するには前髪が長くて少し邪魔なのか、かきあげスタイルだ

かっこいい。

不覚にもこんなことを思ってしまった

口に出さないだけまだマシだ

渡「今日、なんであんな遅くまで仕事してたの？」

無言で運転していていたのに、急に話しかけてきて、少しビックリする

「保存してなかった資料のデータ、消しちゃって。しかも明日提出の」

あ、でも日越したから、もう今日になるのかな？とか考えたけど、後付けするのが面倒だからやめた

渡「ふはっ笑珍しいな、お前がそんなに凡ミスするなんて」

「ほんとよね。何年やってきてんだって感じ」

クシャッと笑う横顔を見て、可愛いな、なんて思う

あくまでもチラ見、だけどね

渡「俺もさ、昔っつーか、前に、間違って保存してない資料のデータ消したことあんのよ。しかも翌日の朝、会議に使うやつ」

「うわっ、それ、めっちゃキツイやつ」

渡「当時、寝不足でさー、資料作るために会社残ってたはずなのに、ソファーで朝まで寝ちゃったんだよね笑」

ケラケラ笑ってるけど、当時の彼の気持ちを考えれば、ゾッとする

絶対、めっちゃ怒られるじゃん

渡「そんで、慌てて起きて、自分のデスクに行ったら、出来上がった資料置いてあんの」

「うわっ。なにそれ、夢の話じゃないよね？寝ながらやったとか？笑」

私の返答に対し、こちらをチラッと見ると、分かりやすくため息をついた

渡「ここまで言っても、まだ分かんない？」