チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ36)

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資料とパソコンを交互に見ながら、カタカタとキーボードを鳴らしていた

もう少しで終わると思い、時計を見ると、11時の方向を指していた

これなら日を越す前に終わりそう

？「お前、まだ仕事してんの？」

突然遠くの方から声をかけられ、ビクッとする

声のする入口の方へ目を向けると、そこにはなぜか翔太が立っていた

「えっ！？なんでいんの！？もう11時なるよ？」

渡「それこっちのセリフ。こんな時間まで仕事してんのかよ...」

そう言いながら、こちらに向かってくる翔太

着崩したスーツを見て、不覚にも、かっこいいなぁ、なんて思ってしまう

「翔太こそ、こんな時間にどうしたの？帰ってからだいぶ時間経ってるけど...」

渡「同期と飯食いに行って、家帰ったら、スマホないのに気づいて戻ってきた」

スマホないの気づくの遅すぎん？

普通もっと早くに気づくでしょうが。

てゆか、同期とご飯行くって、男子？それとも女子？

そんな考えが頭の中で湧き上がり、ちょっとした焦りを感じる

別に翔太が誰とご飯行こうが、私には関係ないんだけどね。

そう必死に自分に思い込ませて、心を落ち着かせる

「スマホないの気づくの遅いとか、現代っ子じゃないね」

渡「俺、意外とアナログなのかもしれない」

訳の分からん答えに、吹き出しそうになった