チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ34)

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企画部に戻るまでの道、ふっかと隣を並んで歩く

今までの私なら、内心ドキドキする思いを隠しながら、浮かれていただろう

深「あーのさ、この前は悪かった」

ぎこちなさそうに話しけられ、緊張感が高まる

この前とは、きっと資料室のことだろう

まぁ正直、あまりこの話題には触れて欲しくなかった。

「ううん。ふっかは何も悪くないよ」

深「いや、俺無神経だったなって。ただ嫉妬して、八つ当たりしただけだった」

"嫉妬"という言葉に、少し反応してしまう

彼からの好意を表す言葉の一つに、未だに動揺してしまう自分がいる

深「.....けど、Aのこと好きだから、これ以上傷つくとこ見たくなくて....」

微かに聞こえる声

いつものふっかからは考えられないぐらい、小さくて縮こまっている

そんなふっかを見て、なんだか笑いが込み上げてくる

「ふはっ笑ふっかが小さく見える」

深「笑うなよ...。これでもお前のこと、めちゃくちゃ好きなんだからな」

ジトッと私を睨むと、不貞腐れたように口を尖らせる

いや、子供かよ。

「ありがとうね。ふっかはさ、そのままでいてよ」

ふっかには、いつもみたいに明るく、みんなを照らす存在でいて欲しい

こんなことで気落ちして欲しくなかった

私の好きだったふっかは、眩しいくらいに明るくて、キラキラしてたよ

深「あー！もう！まじ、お前には負けるわ」

私の頭に手を置いて、撫でると、企画部を前にして、立ち去ってしまった

「ちょっと！企画部に用あるんじゃないの？」

深「いや、ないよ。ただ、Aと二人になりたかっただけ～」

モテ男らしい言葉を残して、背を向けながら片手を挙げひらひらと振った

なんだそれ。

かっこいいじゃんか。

忘れかけていた想いが少しだけ顔を出したようで、顔が熱くなるのが分かった

そんな思いを押し込んで、ふぅ、と一息ついてから、自分のデスクへと戻った