チグリジアⅣ ー愛して、助けてー (ページ26)

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康二side

あまり見たくない光景に、思わず目を逸らしてしまう

きっとめめは気づいてるんやろうな

それで、あんなに仲良くできるんは凄い。めめは心が広いんやな。

そう考えると、俺はなんてちっぽけなんやろって思った

岩『お前も俺と同じか....』

いつの間にか隣に来ていた、岩本くんたる人が俺にボソッと話しかけた

"俺と同じ"とは、どういうことやろ？

分からないでいると、優しい顔で俺を見下ろした

岩『お前、Aのこと好きなんだろ？』

康『えっ....』

初対面なのに、すぐ見抜かれた

驚きすぎて、言葉が出てこおへん

やって、初めて他人に気づかれたから

康『それやったら、"俺と同じ"ってことは....』

俺から目線を外し、遠くにいる三人を見つめる

いや、三人というよりかはAちゃんを見ていた

岩『俺も一緒。報われない想い』

そう呟いた岩本くんの想いは、俺にだけ聞こえた

さっきまでの怖い顔が嘘のように、優しくて、切なくて、弱々しかった

こんなにも表情を変えさせるなんて、Aちゃんはどんだけの魅力持ってんやろって思った

岩『こうじ？だっけ？』

康『はい！向井康二いいます！あの、改めてお名前聞いてもええですか？』

岩『岩本照。照は、光を"照"らすの"照"。珍しいっしょ？』

康『ええ！かっこええ！！そんなら、照兄やな！』

岩『なんだそれ！笑初めて呼ばれたわ笑』

康『ええやないですか！照兄、俺ら報われない同盟やんな』

岩『だな....笑お前も、無理すんなよ』

そう言って、俺の頭をガシガシと撫でた

Aちゃんとは違い、大きなゴツゴツした手が俺の頭を覆う

初対面やのに感じる安心感に、この人になら何でも相談できそうや、なんて思った

だから、今こうして照兄を頼ったんや